【書評】情報を正しく選択するための認知バイアス事典
これはそういう言い方を暴いた、認知バイアスの事典。個人的にとても好きな本です。 認知バイアスとは、なにか判断するときに非合理的な考え方になりがちな傾向のことです。
例えば、「この壺を買えば必ずいいことが起こりますよ。買わなければ不幸が訪れます」と言われた場合、雰囲気に飲まれて2つの選択を考えてしまいがちです。 しかし「二分法の誤謬」という認知バイアスがあることを知っていると、本当は以下の4択であることに気が付けます。 ①買って幸運が起こる
②買って不幸が起こる
③買わずに幸運が起こる
④買わずに不幸が起こる
そして、「いえ、私は買いません」(買わずに幸運になりえるからね)と言えます。
他にも、
スピード違反で捕まった人が「あの車だって違反しているじゃないか!」という主張に対しては「今はあなたの話をしているんです」(お前だって論法への反論) 「男はみんな~」「女はみんな~」という主張に対しては「そうとも限らないよ。だってそうじゃない人1人知ってるよ」(早まった一般化への反論) 「煙草をやめてよ。体に悪いし、お金ももったいないし。」→「嗜好品くらいいいじゃないか。お前もコーヒーよく飲んでるんだし」に対しては「嗜好品はいいけど煙草をやめてほしいんだよ」(藁人形論法への反論) といったように、あらゆる認知バイアスに対して防御することができます。
会議でこれを見抜けば、不毛な議論を避けることもできます。 日常のあらゆるやり取りで武器となる、おすすめの一冊です。