芸術文化消費と象徴資本の社会学
片岡栄美
文化経済学第6巻第1号
例えばクラシック音楽や美術愛好家には明らかに大学卒の肩書きを持つ人が多く体が無意識的にとっている文化的戦略とは何かを明らかにすることそしてその集団的階層的な限界や外的拘束性客観的構造を明らかにすることも芸術文化の政策を検討する上では重要である
文化的罪にも1つの経済があるがこの経済は独自の論理を持っており経済至上主義を逃れるためにはこの論理を抽出しなければならない
ブルデューがフランスの社会で分析してみせた
どの作曲家が好きか海外の興味のある方や音楽の好みなどライフスタイルに現れたサイトそれを支えている心的構造(ハピトゥス)は社会的位置と対応するのである
文化的排他性仮説
エリート文化vs大衆文化
家庭文化の所属継承や学校教育における文化伝達を通じて特定の身分文化と生それとはわからない社会的に隠匿された方法で(一見客観的な教育選抜等を装って)再生産すると言う「文化的再生産」が特定階層の中で行われている
ポストモダン文化の流れでは多様な文化を理解し異質な他者他者や文化に対して寛容になれる能力こそが重要となると言う考え方がある。これを文化的寛容性仮説もしくは文化的オムニボア仮説と言う
文化的オムニボア
威信の高いハイカルチャーから威信の低い大衆文化までの幅広い文化趣味を持つオープンな嗜好性
正統文化と大衆文化を両方経験している文化的オムニボア全体では54%の人々が該当し特に若い世代ほどオムニボアが増加してハイカルチャーも大衆文化も両方経験していた
わが国において文化的排他性仮説は成立しない。文化的オムニボア科説が妥当である
しかし政党分解の象徴的境界も緩やかながら作動している。文化の階層的不平等は存在するのだが、大衆文化の広がりがそれを見えにくくしている。
オペラの趣味よりはカラオケで流行歌を歌えなければ会社員は務まらないのである。
男性は結婚後の配偶者家族の影響によってクラシック音楽鑑賞や美術館方を訪問を始める割合が高いが、女性は友人の影響がつよい。女性の方が男性よりも出身家庭の影響を強く受けて芸術文化へ向かうことがわかる。
美術館については女性に特有の情報行動によって始められているといえよう。
これらの結果から教養ある余暇活動消費者(ここでは美術館をよく訪問する人、クラシック音楽会へ行く経験を持つ人たち)の社会的特徴とは①女性であること、②高い学歴、③幼少時に家庭での芸術文化体験があること(所属文化資本)④採集学校での文化経験があること⑤年齢が高い
女性は高学歴ほどハイカルチャー志向が強いが男性は高学歴でも大衆文化的でありハイカルチャー思考も女性ほど強くはないと言うことであった。すなわち日本の男性学歴エリートたちは、決して排他的な文化エイトではないと言うことである。
文化定義のジェンダー化
女性に家庭役割を期待する者ほど女性が文化的であることを望む
世俗的には、ジェンダーと結びついた人々の文化戦略として芸術文化活動が理解されており、必ずしも芸術への憧れといった思考を求める芸術的動機ばかりではないと言うのも、調査から明らかになってきた。
文化的であることが女らしさの象徴的な利益を伴うからである