オーディエンス
マックウェール、D. は、オーディエンス研究には2つの異なった立場・目的があるとする。1つは、新聞・書籍や放送番組の送り手が、自らの記事・書籍・番組がどのように受容されたかを知るための「メディアを中心にした」研究である。購読者調査・視聴率調査は、その典型である。ここでは、「ある地域で自社の新聞をどれくらいの読者が読んでいるのか」「どのような番組を制作すればより多くの視聴者が視聴してくれるか」など、オーディエンスはあくまで送り手の作ったものを享受する受動的な存在、送り手によって操作される存在として取り扱われる。
一方で、オーディエンスを操作対象とする立場を避ける「オーディエンスを中心にした」研究もある。利用と満足研究は、オーディエンスは自らの欲求を満足させるためにメディアを選択し利用すると考え、記事・書籍・番組からオーディエンスがどのような充足を引き出しているのかを研究する。カルチュラル・スタディーズは、オーディエンスをより能動的・自律的な存在としてとらえようとする」(藤田[2012b:132])