2025-10-16

一緒にクリエイションをしている友人とのやりとりが一向に進まない。

「こういうテーマで作品が作りたい」とのことなのでカフェで話して、相手の哲学を聞いて、私も思いついたことを話して、ではやりましょうとなってからもう1年くらいになるだろうか。

どうしたらいいのやら。

会ってフランス語で思想家の話をされても、その場では一切答えられない（残念ながら日本語でだって答えられはしない）。哲学を作品に込めることに反対はしない。でもいくら哲学を語っていてもダンスは作られない。ある程度の筋や哲学をお互いが共有したのだから、あとは動いて、シーンを作って、それを見直しては修正して…を繰り返すしかないと思うんだけどな…。もうやりたいシーンはありすぎるほど提案してあるのだし。

それからいつも困ってしまうのは、バカンスになるとみんな創作から離れて全部を忘れてしまうこと。普段の仕事がやっと休みになるのだから創作に没頭できるいい時間だと思うのに、バカンスだけはかたくなに譲らないんだよな…。フランスは年の1/4がバカンスなので、何もものごとが進まない。（これは日本語を教えていても感じる。1ヶ月か1ヶ月半授業をしても、2週間〜2ヶ月のバカンスで全部忘れられてしまいまた振り出しに戻る）

つくづく生産性の低い国だ。

私が彼女の立場なら…

自分で全部つくりたいシーンを筋にして、まず一緒に稽古をしてビデオを撮る。ひとりでビデオを見ながら自分のイメージとのズレを修正したり、シーンを追加・削除して次回の稽古に備える。最初の稽古から1週間後くらいにもう一度稽古して、今度は相手に宿題を与えることもあるかもしれない。そういう稽古があと3,4回あるかもしれない。

もうそうしたら骨子ができる。この辺でできたら劇場、照明の感じが分かっていると良いけど、そうもいかない場合もある。（だから照明は自分でできる範囲のことも考えておく）

微調整のための細かい作業に付き合ってもらう稽古も必要で、2回くらいやって、時間をおいて（ダンサーに稽古の時間をもうけるため）また2回くらい、最後のほうは通せるようにしておく。

そうしたらもう本番かな…

2,3ヶ月くらいでやってしまう。

だってそうじゃないと自分の時間も相手の時間も無駄にすることになるから…。

フランスで舞台を作るうえで困るのは、まず稽古場を借りるお金を出してもらうために書類を書いて作品を売り込まなければならない、ということだ。稽古をする前に作品が頭の中で出来上がっていなくてはならない。

私にしてみればそれは順序が違う。

日本では最初から助成をもらうという頭がない（ことが多い）ので、自腹を切って稽古をして、形が見えてきたら売り込むというかたちを取ると思う。もちろん自腹を切らなければならないというのは全然良いことではないんだけど、翻ってフランスのように「絶対に自腹を切らない」ことが当たり前になっていると、その稽古時間を無駄にすることにも躊躇がないので困る。

私にとっては仕事を休んで稽古に参加しているのでその時間は有料なんだけど、ダンサーを専門職としている人にとっては仕事がなくても最低賃金は保証されているので、そのあたりの危機感がない。これはもう埋められない感覚のズレなんだと思う。

この「クリエイション」をテーマにしたタグは愚痴っぽいことばかりが書いてあっていけないな…ぜんぜんクリエイションじゃない…「愚痴」というタグにしたほうがいいかもしれない…