2025-06-19

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ラストの方、書かれたものへの納得感について話されている部分について考えさせられた。

全く同じことではなにせよ、舞台でもいわゆる「おりてくる/おろしてくる」タイプと積み上げタイプとで分かれていて（グラデーションはもちろんありで）、終わった作品に対する距離感とか振り返り方がそれぞれ違うなと思うことがあるので、照らし合わせながら聞いてしまった。（いや、もちろん全然違うことなのだけど、本を書いたことのない私に想像できるのは一番長く付き合った舞台のことだけなので、つい引き込んでみてしまう）（そしてもちろん、倉下さんが私の思う舞台人の「おりてくる」タイプである、というような単純なことを言いたいわけでもない）

これを作ろう！とそのことに取り組む間に、自分の力不足も成長も知ることになる。最初の計画なんて全然役に立たないくらいに手を動かすと現実はべつものなので、最初は冷や汗をかくことになる。でもいつかはそれが形になってくると分かってきて、それでも毎回何度も苦しいところを抜けて、良しと思ったところがやはり悪かったり、削ったものをもう一回持ち出したりやっぱり削いでいったり、そうするうちに作品と自分のことを知ってゆく。

ここが良い塩梅かな、と思えるのは、そうやって今の自分を知る過程と共にあるからなんだろう。

私はどちらかというとおりてくるというかどこかに飛んでいくタイプでしかも積み上げたもの以上の結果が毎回舞台で出てしまう。「出てしまう」と書いたのは、それがために私はいつも自分の仕上がりを正しく見積もることができず必要以上に緊張しなければならないからだ。今まではほとんど自分の思った130％くらいの仕上がりになる。でもそれは自分のコントロール外にある。コントロール外にあるものはいつ90％になるとも限らないのだった。

もしくは自分を低く見積もりすぎなのかもしれない。低く見積もることでしか自分を頑張らせることができないのだとしたら、それはそれで問題だ。

Sは私とは対象的だ。地道に歩いたそのままが過不足なく舞台に乗る。だから舞台上ではいつも平常心、緊張することもないのだそうだ。