2025-03-16 気になる灰色、よい読書、まとめたりほぐしたり
先週も同じ場所で会ったチャコールグレーの猫、お日さまを浴びてふかふかとふくらんでいたので「そこあったかいね」と話しかけたら元気に「にゃん!」とお返事してくれた。頭を撫でると気持ちよさそうに目を閉じ背伸びをした。肩甲骨や背骨がはっきり見える。ちゃんとご飯食べてるかい?と聞く。多分この子はその道沿いの出窓で飼われている猫なのだけど、冬でも外の小屋で眠っていたのを思い出す。ちゃんと飼われているのか、半分野良なのかはよくわからない。
『文化の脱走兵』を読む。
どの章も心が洗われるよう、かといってそこに深いひだがないわけではなくて、それなのに読むと素直で晴れやかな気持ちになるのはこの書き手のひとやものやものごととの接し方、有り様によるんだろう。
アルセーニイ・タルコフスキーについての章がある。タルコフスキーの映画が好きでゴットランドまでは行ったが、ウクライナにもロシアにも足を踏み入れたことがない。いつか行ってみたいなあ、なんて呑気に言えないことがかなしいな。
audibleは考えなくてもいい稽古の時に聞けるのがいい。この『文化の脱走兵』は朗読の方も作品によく合っているのかもしれない。
本を読んでいてここは、と思う部分に付箋を貼ったり書き抜いておくことがあるが、それを後から見返しても読書していたその時に感じたことをよみがえらせることはなかなかできない。散歩と同じで、家から公園まで歩いた道のりのなかで考えることは家から公園まで一歩ずつ歩いた感触やそこまでに目にしたもの、スピードや時間の積み重ねとともにあるものであって、それを飛ばして(たとえばバスなどでその場所に行って)ふたたびなぞったとて、同じ体験にはならない。
かといって胸の内が震えるたびにたちどまってノートにあれこれ綴っているといっこうに本が読み終わらないので、どうしてもあとまわしにしてしまう。
#書く/読むことについて
-
Cosense(元cosense)でハッシュタグやリンクにしているものは「いつかまた話題にしたときに関連して出てきてほしい」という意味があってそうしているんだけれど、時々「このリンクとこのリンクはまとめることができるな」という気付きがあって、そんなふうに自分が分けて認識していた物ごとが実は同じ根から派生したものだったんだと発見できることがあるのは嬉しい。
「分類する」ことで「同じか違うか」を分けていったはずなのに、分類したものをもう一度分類する時に違うと思っていたもの同士のあいだにあるつながりがむしろ見えてくるのが面白い。
そこには「違うもの」と認識しながらそれぞれに付き合った時間が必要だったんだと思う。
-
『📖『ムシェ 小さな英雄の物語』キルメン・ウリベ/金子奈美訳(白水社) 読了。
とてもよかった。
バスク地方のこと、スペイン内戦での立ち位置、周辺の言語体系とは違うバスク語のこと、フランスと仲が悪いという噂も含め、いつか知りたいと思っていた土地だった。
書抜やちょっとした感想は上記リンクに。
-
2025-03-16 気になる灰色、よい読書、まとめたりほぐしたり#67d6ed8feff4c00000b8c981
でも本を読み終えることよりも、こういうことこそを大事にしたいのだった。
#こういうことを大事にしたい
-
#03-16