先行作まとめ
円城塔の作品の発想の元となったと思われる作品で、他の項でまだ言及していないものを列挙しておく
ムントゥリャサ通りに面したムントゥリャサ小学校の校長であったと自称し、かつ地下帝国のボスであると目される老人の語りを主軸に物語が進むのだが、その語りはしばしば矛盾しており、さらには即座に矛盾さえする。ミステリ的語り口でありながら、テクストはしばしば脱線と矛盾を繰り返し結局何が起こっているのかわからない。円城塔が学生時代に最も好んでいた作品というのも納得。
絶版となって久しく、プレミアがついて高騰中
祝復刊
人類とは“位相”の違う知性をどのように捉えたら良いか、あるいは不可知のものをどのようにして探れるだろうか、という話はおそらく円城塔の問題意識の中心にあると思う。
そもそも、真に不可知なものであるならば、それを認識することもそれが不可知であることもわからないはず。正規直交系を成す規定同士が互いの存在を認識できますか、という話。相手を認識することができるならおそらく徹底的に理解可能なはずで、理解不可能なものはそもそも認識することすらできないのでは。