『RPGマガジン』1995年6月号~ 「G-Square」内にて映画紹介記事ほか
情報
『RPGマガジン』1995年6月号(ホビージャパン、1995年6月2日)p.69, 70
『RPGマガジン』1995年7月号(ホビージャパン、1995年7月2日)p.70
『RPGマガジン』1995年8月号(ホビージャパン、1995年8月2日)p.70
※確認済のもののみ。(他にもあるかもしれない。)
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概要
1990年から1999年までホビージャパンによって刊行されたTRPG専門雑誌『RPGマガジン』には、「G-Square」と呼ばれる「ゲームフリークのための情報コーナー」が数ページにわたり設けられていた。ここでは、ゲームレビューやイベントレポートのほか、映画や小説の新作情報なども紹介されていた。
このコーナーに、学生時代の秋山瑞人とみられるライターが参加していた可能性がある。ただし、真偽は不明。
なお、秋山瑞人と思われるライターが紹介しているのは、確認できる範囲内では以下の5つ。(他にもあるかもしれない。)
映画『帝都物語・外伝』 (95年6月号)
映画『インタビュー・ウィズ・バンパイア』 (95年6月号)
映画『JM』 (95年6月号)
小説『悪魔が来りてホラを吹く』/中村うさぎ (95年7月号)
映画『GHOST IN THE SHELL』 (95年8月号)
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感想その他
これが本当に秋山なら、「いかにも」といったラインナップだと思う。特に『JM』(原作がウィリアム・ギブスン『記憶屋ジョニイ』)や、『GHOST IN THE SHELL』あたりが。
文体もけっこう秋山っぽい。
割と時代を感じさせる文章というか、今の若者から見ればちょっとおっさんくさいというか。この時代のオタクとかネットユーザー特有のノリ。(よく考えてみたらそもそも秋山瑞人の文章ってちょっとおっさんくさい。まあ、それがいいのだけど。)
少し抜粋する。
『JM』の試写会終了より約1時間、その興奮さめやらぬうちに、と帰りの電車の中、人目もはばからずこの原稿の下書きを始める私。/ハッカーの暗躍により、通信の秘密というものが形骸化した未来 主人公ジョニイは改造した脳に直接情報を記憶させて客に届ける「記憶屋」だ。彼をねらう多国籍犯罪組織「ヤクザ」、見え隠れする地下組織「ローテク」の影、ジョニイの頭につまった情報とはいったい何なのか――。/これ以上のネタばらしはご勘弁、あとは見てのお楽しみ。『JM』なのである。すごいのである。ちょー燃えなのである。/この手のSF映画って、どうあがいてもB級っぽさが色濃く漂う。別にけなしてるわけじゃなくて、私なんぞはそうでなくてはいかん、と思うのだ[…]/さあ、そこのサイバー大好きな君。サイバーパンクRPGのマスターのあなた。プレイヤーのあなた。B級映画の好きな人。[…]「JM」――おすすめだ。/電車が高尾駅についた。コンビニで飯買ってかなきゃ。 (『RPGマガジン』1995年6月号 p.70)
試写会終了後の興奮のなか電車に揺られながら原稿を書き進めている人間の姿という、読者を惹きつける描写から始まり、流れるように、カジュアルで熱量の高い映画紹介文が続く。そして、読者への熱のこもった呼びかけの後、駅に到着して「コンビニで飯買ってかなきゃ」という妙に日常的な文章で締めくくられる。
軽快なのに熱量が高い感じとかかなり秋山っぽいし、「私なんぞ」とか、「~~なのである」とかいった言い回しも、あとかぎやインタビューなどでよく見た表現だ。電車の中から始まり、駅に到着して終わるという、まとまりのある構成も小粋でいい。
やっぱり、秋山瑞人本人なんじゃないかと思う。
もう少し抜粋。
士郎正宗の作品は、どれも映像化しにくい。/理由はひとつ。士郎正宗の「ウリ」はそのストーリー自体ではなくて、病的に細かく設定された世界観――偏執的なまでに書き込まれた絵や、コマの外にうるさいくらいにバラまかれたウンチクの数々にあるからだ。小松左京の作品がそうだったように、「ウリ」を映像に翻訳するのに金がかかってしまうのである。そこで! /この秋公開予定、劇場用長編アニメーション『GHOST IN THE SHELL』なのである。/これはイケるっしょ。うん。4億の金をかけ、監督に押井守をつれてくるあたり、「わかってんじゃん」と思わせる。わたしもまだプロモのビデオしか見てないのだが、ストーリーの方は、原作の「PROLOGUE」から『人形使い』がらみの話――「JUNK JUNGLE」「BYEBYE CLAY」あたりをつなげてトータル80分に、って感じになりそう[…]/ ここでプレゼントのお知らせ。[…] [住所の情報]攻殻機動隊RPGM係 まで。このプレゼントに応募すると[…]こらもーマニアなら応募するしかないっすよ! (『RPGマガジン』1995年8月号 p.70)
プレゼントのお知らせをやっているのは少し可笑しかった。
これもいかにも秋山らしい感じがする。やっぱり士郎正宗とか好きだったのかなーと思う。(となると、「BLACK MAZIC」のタイトルの元ネタはやっぱり士郎正宗の『ブラックマジック』?) まあ、本人が他のインタビューとかで一度も言及していない上、情報もほとんどないので、もしかしたら本人も隠したがっている情報なのかもしれない。(だとしたらすいません。)
ちなみに、他にこの情報コーナーに参加しているライターには、TRPGデザイナーとかシナリオライターみたいな人が多い。運命が違っていたら秋山はラノベ作家じゃなく、そういう方向に行っていたのかも、とか考えたりする。
もちろん本人じゃないかもしれないけど。