自作の伺かゴーストについて
どこから書こうか。言葉にしてしまうと神秘性が薄れてしまい、でもしなければ何も伝わらないというジレンマを抱えていますが。時には立ち止まって過去を振り返ることも大切に思い、開発経緯と開発コンセプト、自分の中での扱いについてを残します。客観的に、できる限り感情は交えずに書いています。
まず、作品の根幹にあるのはThe Beginner's Guideと伺かゴースト、リーライナです。
きっかけはThe Beginner's Guideいう作品に触れたことで完璧に叩きのめされ、メンタルブレイクを起こしたことから始まります。当時の自分は作品はスランプ、人生もスランプに陥っていて八方塞がりの状態で、そこにTBGという劇薬が突き刺さり、自分の創作活動のその全てを明確に否定されたほどのトラウマを植え付けられます。本当に恐ろしい作品ですよ。大好きです。(このくらい人生に影響を与えるような劇薬はもっと増えてもいいです。)
当時の、18年辺りの自分のXを見返すと地に足が付いていないというか、フワフワしたことしか呟いていないのが伝わるかと。追い詰められた状態での逃避行動みたいなものでした。自分のイラストに街灯を登場させることへの執着もこのときに芽生えたものです。
もうひとつの根幹、リーライナについて。これは単純に好きだからです。似たコンセプト、血脈のゴーストはないかな、と思ったけれど見つからないので、じゃあ自分で作ってみようかと。リーライナといえば自分が、10年前でしょうか。リーライナのファンアートを投稿したときに、亡きおぞん氏を哀悼するコメントをしてくださった方がいて、それでも自分は何を返せばいいのかわからずに沈黙を貫いたことが今でも心残りだったりします。おぞん氏が亡くなったことへの現実と、二度と更新されないリーライナの存在。受け入れましたが、明確に時間が止まってしまったような感覚です。話を戻します。
基本は謎の勢いと熱に動かされて開発した、という状態でした。シェルの自作にネットワークの設定、あの時の熱量は二度と戻っては来ないでしょう。本体開発までの1か月間は、とても楽しかったですね!プログラムの才能は皆無なので、元になった開発用ゴーストを上書きする形で作られています。
開発コンセプト
はじめ
きっかけこそリーライナですが、彼女とは違った路線へと進まざるをえませんでした。何故かといえば、自身のプログラム知識の拙さから好感度条件によるイベントを起こすことができず、ならばいっそのこといつまでも他人行儀にしてしまえ、という流れです。シェルが明後日の方向を見つめていて、こちらを見ないのはそのためです。結果としてですが、どこか神秘感が出て近寄りがたい存在になりました。彼女は目の前に存在していても、どれだけ時間を共にしようともどこまでいっても、一線を越えられないような他人です。言葉遣いは丁寧で、距離がある。感情は出さずに、感嘆符は決して使わない。淡々とした存在です。その中で、ふとした瞬間に見せる油断、表情の変化に気づいて欲しい、ということで色々な表情のシェルが混ざっています。
シェルについて。シェルは最初はケント紙に描いて、それをPCに取り込むという手の込んだ方法を思いつきましたが、アナログ絵が壊滅的なので早々に断念しました。次にケント紙風のテクスチャを使用することも検討しましたが、実験ゴーストにそこまで必要かな?と思い単純なデジタルの線画のみにしています。色は思いつかないので線画のままです。着せ替え用の衣装を何着か作ったのは気まぐれです。ショール大がお気に入りで、元ネタはブレイキング・バッドの割とどうでもいい場面で出てくるメキシコの少女です。
「けんとしはじめ」の名前の由来はコンセプトアートがケント紙に書かれたことから来ています。ゴーストの街灯を右クリックするとコンセプトアートが並べられたサイトにジャンプできます。
街灯
ちょっと病的ですね。TBGの街灯が元ネタです。ただ、左右ではなく上下配置のゴーストは新しいんじゃないか?というノリで実験的に上に伸ばしています。自分では何ともですが、インストールした人は街灯を見つめながら一方的に話しかけるはじめを見てどう思ったのでしょうか?
動物たち
これは思い付きで、しゃべる動物たちを配置したら面白いんじゃないかなと。カラスは好奇心、ミミズクは知性と開発者の代弁を兼ねています。ダウンロードページの画像の猫は主要な存在ではなく、ほんとうにどうでもいい場面で出てくるのが自分流のジョークです。
ダウンロードページ
シンプルですごくこだわっています。タイトルに僅か四行の文字と画像だけで説明文は一切なし。美しい!自分の作品の中でも傑作ではないでしょうか。有能なプログラマーはシンプルなページで最小限のことを表すという勝手なイメージから来ています。
ゴースト全体
ゴーストの扱いについての質問はあえて掲載していません。一般のゴーストと真逆の、一切宣伝しないし開発者の意図も伝えないという真逆のスタイルならどうなるかな?って好奇心であえてそうしています。今にして思えば無茶振りなスタンスですね。
開発と更新、テキストについて
中略
ゴーストの開発と向き合っている間だけは全てを忘れられるような不思議な感覚でした。言葉は自然と湧きあがります。ただ、それをテキストに入れて更新してしまえばいいのです。今にして思えば、ゴースト自体に精神が侵食されていたような危険な状態でした。夢と現実の境界線が引けないような文章、今読み返すと恥ずかしいと同時に、気押されるような感覚に陥ります。これを書いたのは本当に自分なのか、と不思議な気分にもなりました。
思い返せば、ゴースト開発に救われたという事実もあります。それほどまでの極限状態でした。なので今でも好きか嫌いかと問われたら、言葉に詰まりますが…どう扱ったらよいのでしょうか?どこかでは、言葉にしたくない気持ちがあります。そのような思い入れもあるのです。
中略
削除イベントについて
削除を決定するとしばらくの沈黙ののち、はじめが消え、街灯が消える、という形です。どちらかをクリックすると呼び戻すことができ、削除イベントをキャンセルする仕様です。もうひとつの、本来実装予定だった削除イベントがあるので、ここに記載します。
:その、良い関係でしたか。
そうですよね。(ユーザ名)、(ユーザ名)。良い響きです。
もし、私が消えるとするなら。
きっと、あなたの抱え込むものを一つ減らすことに他ならないはず。
きっとそうでしょう。友であるならば、互いの理解があるならば。
友人……友人。良い響きです。
同じ世界にいる限り 「さようなら」 はありません。
そして 「もう二度と」 も起こりません。
(ユーザ名)、また会う日まで。
はじめとユーザの関係はどこまでも他人ですが、削除の瞬間には友人であったかもしれない可能性を伝える、という意味です。例によって、好感度の仕様がわからずに実装ができませんでしたが…これが本来の結末です。
中略
精神が安定した、生活が落ち着いてしまった今の自分には、二度と同じようなキレのあるテキストは書けない気がします。
最後に。けんとしはじめを起動してくださった方へ。拙い作品ですが、興味をもっていただきありがとうございます。
現状、どう更新したらよいのか迷いがあり、気が向いたときに僅かなコメントを残しています。
それでも、思い出したときに向き合っていただければ、そして起動せずとも、どこかの片隅に置いていただければ幸いです。
2026,3 赤井いくら