テクニカルアーティスト向けの本・資料の紹介
主に私が読んだり積んだりしているテクニカルアーティスト向けの本や資料を紹介します。網羅的にやるには何もかもが多過ぎて無理なのでやりません。
テクニカルアーティストってなんぞ?
テクニカルアーティストは CG の界隈で比較的最近できてきた職種で、アーティストとグラフィックスプログラマーの中間あたりに位置して両者の橋渡しをしたりするお仕事です。
もう少し具体的に言うと下記のようなことをしたりします。テクニカルアーティストの仕事は範囲が広いので、もっといろいろあるかもしれません。いろいろやるのでいつも人が足りません。たすけて!
アーティスト向けツールの実装
いろいろな DCC ツール(例: Photoshop, After Effects, Blender, Maya, Houdini)上で動作するツール・プラグインの開発。
実装だけではなく、場合によっては要望や状況の聞き取り、仕様決め、設計、ドキュメント作成、運用なども含みます。
例えば、Photoshop で作成されたファイルのファイル名、画像サイズ、色空間、レイヤー名、レイヤー階層などがプロジェクトで決められたルールに沿っているかチェックするツールを実装する、などが考えられます。
他の DCC ツールの機能移植できませんか?という相談などもあります。
アセットパイプラインの構築
アセットパイプラインというのは、絵や 3D モデルなどのアセットがアーティストによって作成されて、ゲームなどの最終的な成果物で使用されるまでの流れです。
例えば、Maya で ma (MayaAscii) もしくは mb (MayaBinary) で作成された 3D モデルを FBX に変換して Unreal Engine にインポートする流れをバッチ処理で行えるようにする、などが考えられます。
アセットをどう管理するかを考えたり、アセット管理システムの構築や運用に関わったりすることもあるかもしれません。
シェーダー、エフェクト、リグ(リギング)などの、アートと技術の両方の知識が必要な制作物への対応
リグを専門でやる人は、テクニカルアーティストとは分けてリガーと呼ばれることもあります。
両方の知識を持つと言ってもそれぞれの専門家程深掘りできるわけではないので(時間は有限です)、専門家に聞きながらいい感じに調整したりすることもあります。
正直言ってどこまでがテクニカルアーティストの仕事の範疇なのかよくわかりませんが、やれるに越したことはないわけなのでやっていきましょう。
本の紹介
初めの方で読むと良いかも
CGクリエイター検定 という、業界では割と有名な資格の勉強用の本です。ソフトウェアエンジニアにわかりやすく言うと、基本情報技術者みたいなものです。CGの知識を広く浅く扱っています。CG系の専門学校卒の人であれば学校でやった内容かもしれません(CG系の専門学校に行ったことがないのでわかりませんが)。私のように未経験からテクニカルアーティストになろうとしている人は、一通り目を通しておくと全体の見通しがよくなるかもしれません。 CGエンジニア検定 という資格の勉強用の本です。上記と同様に基本情報技術者のようなもので、こちらはエンジニア寄りの内容です。 ゲーム開発における 3D グラフィックスの歴史が学べます。手を動かして覚える系ではないです。
入門書です。手を動かして覚える系ではないです。
作例は Maya ですが、DCC ツールに依らない内容になっていると思います。各章末に練習課題があります(Maya 前提です)。
プログラマー寄りの入門書です。手を動かして覚える系ではないです。
読むと良い
ライティングに悩んだ時に眺めると、何かヒントになるものが見つかるかもしれません。
物理的なカメラや照明のことを知ることができます。このへんの知識は物理ベースレンダリングなんかで必要になることがあるので、ゲーム方面のテクニカルアーティストでも知っておくといいです。
主に体表に表出する筋肉や骨について知ることができます。
ペンだけでここまで多彩な表現ができるのかと打ちのめされることができる良書です。
良いトポロジーを保ってモデリングするにはどうするかが学べる薄い本です。クソ高い上に入手しにくいですが良い本です。
大抵の DCC ツールやゲームエンジンで扱えるプログラミング言語であるところの Python と上手く付き合っていくための知見がたくさん詰まっています。Python チュートリアル などで Python に入門した後の一冊目として読むといいかもしれません。 リグの理論寄りの本で、類書を見かけない希少な本です(少なくとも日本語の本で似たようなものを知らない)。エンジニア方面からやって来た人は割と受け入れやすいかもしれません。
シリーズ4巻目が入門者向けなのに対し、シリーズ1巻目は技術寄りの内容になっています。
業務として集団でプログラミングをする際の指針について、著者が所属する会社である Sucker Punch Productions の場合を一例として紹介する本です。自分たちの集団に取り入れられそうなものもあれば、そうでもないものもあるかと思いますが、重要なのは著者も言っているように、自分たちの集団が効率的に開発を行えるように自分たちのルール作りをしてそれを守ることです。 背景制作について知ることができます。特に5章のプロシージャルは、テクニカルアーティストにも関係の深い内容です。
テクニカルアーティストの範疇なのか不明ですが、インフラやネットワークの知識が要求されたことが実際にあったので入れておきます。お任せできる専門家(インフラエンジニアなど)がいるのなら、お任せした方がいいのかもしれません。でもそうはならないこともあるわけなんですよね。
同上。やや古い内容もありますが良い本です。古い部分は歴史だと思って読みましょう。
ツール別
Adobe ExtendScript に関する希少な本です。
Houdini の入門書です。
Maya でのリギングの本です。最近日本語の 3rd edition が出ました。
この本の本領は、ツール固有のものではないエフェクトアーティストの考え方の記述です。エフェクト表現で困ったときに読み返すと発見があるかもしれません。
Blender アドオン開発の入門書です。希少です。
まだ読んでない
本以外の紹介
テクニカルアーティストは Python から逃げられません。やっていきましょう。
Maya の公式ドキュメントです。
チュートリアルなどです。
公式ドキュメントです。
最近(2024/12)、Unity 公式から日本語の電子書籍が公開されました。
公式ドキュメントです。
公式ドキュメントです。
本にもなってます。
本にもなってます。
テクニカルアーティスト向けのフォーラムです。
主に Houdini でのジェネラティブアートの紹介です。
C++ を書かなければならない時がやってくることもあります。
各開発環境の推奨バージョンが毎年発表されます。
はい。
明日の記事は、六丁の目交差点💖🙏安心教埼玉支部さんの「推しについての記事を書く」です。