アイデアというのは複数の問題を一気に解決するものである
岩田 どんなものでもそうだと思うんですけど、
なにかをつくるときって、
「あちらを立てればこちらが立たず」
という問題がつねにあるわけです。
だから、なにかのことに対して、
「こうしたらよくできる」
「こうしたら悪くなる」
という選択があるわけですが、
現実になにか商品をつくるときには、
「ひとつだけ困ったことがある」という
恵まれた状態になることなんてまずなくて、
あちこちに困ったことがいくつもあるんです。
岩田 それは、商品だけじゃなくて、
組織もそうだし、対人関係もそうだし。
そういったことに対して、
「これは、こうだから、こうしたらいいんです」
って、ひとつだけ改善したとしても
全体を前進させることはできない。
ひとつ努力してよくしたとしても、
なんらかの副作用が出てきますし、
いままでうまくいってたことが
うまくいかなくなったりもします。
だから、アイデアを出す会議などで、
「この問題をどうしよう?」
ということを話し合っているときに、
当然いろんな人がいろんなこと言うんですけど、
たいていそれは、ひとつの問題を解決するだけで、
ほかの問題を解決させるわけではない。
つまり、汗をかいた分しか前進しないんです。
岩田 宮本さんが「わかった」と言ったのは
そのときにいっしょにつくっていたゲームの
アイデアだったんですけど、まさに、
「このアイデアで、悩んでる問題が、
三つ四ついっぺんにきれいになる」
というものだったんですね。
糸井 まさに、それが「アイデア」だと。