GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた/3章
以下の8つのアクションプランをすべて実行することを推奨する
リモート組織に関する認識を改め明示する
リモート組織に対するスタンスについて、全員の共通認識となるように誰もが目にできる場所に明示する
オフィスは非日常を演出するためや子供がいるなど家で集中できない人向けの支援として捉える
リモートワークに適した非同期業務のパフォーマンスを最大化させる前提に立って組織を再構築する →ハンドブックといったかたちで明示しつづけることが必要
リモート責任者を任命する
DRI (Directly Responsible Individuals) 責任者の方針について、メンバーは懸念や反対意見があればはっきりと示す必要があるし、責任者も同様に説明責任を果たさなければいけない
双方が意見を延べる責任を果たした上で責任者が決定したことであれば、それ以外のメンバーは賛否を問わず全員が決定を尊重してコミットし、全力で支援します。そうしたメンバーのコミットメントに対して、責任者は結果によって応えるのです
マッキンゼーの「反論する義務」
実現ができるだけの十分な権限が与えられなければいけない
リモート責任者になるために必要なスキルと才能
ローコンテクストで精密なコミュニケーション能力 (特に言語化・文書能力)
深い共感力と経営者視点、当事者意識
高い成果や重要な目標にチームを向かわせるストーリーテリング能力
組織の力学を理解し、チームをポジティブな方向に動かす調整力
組織、文化、戦略を進化させるため、外部情報を求め組織に適用させ続ける学習と実行能力
部署間の協力関係の構築を行い、橋渡しする能力
透明性を保ち、ものおじせずに物事を進める能力
グローバルや客観的視点で経営層の意思決定を後押しするアドバイザリー能力
自己学習や自律行動に対する深い理解
ドキュメンテーションや知識の構造化・体系化に対する深い理解
非同期での業務に精通し、他人にも指導できる能力
ハンドブックを制定する
憲法にあたる唯一絶対のルールブック
ここに書かれていないことによって物事が決まったり制限されたりしないと保証されなくてはならない
なんでもハンドブックに書いてあると、わからないことを質問するのではなくハンドブックを調べるようになる
対面で話せば5分でわかることでも、同じことを繰り返せば質問者と回答者それぞれの5分が延々と浪費される
さらに集中を途切らせると再度集中できるまでに時間がかかる
ハンドブックはコスト効率が良いだけではなく心理的安全性を高め、従業員の自律的な行動を促すことにつながる
ハンドブックに記載された基準で判断されることがわかっていれば、基準さえ満たしていれば誰かに攻撃される恐れがなくなる
ハンドブックはいつでも誰でも参照できるようにアクセスしやすい場所に設置されている必要がある
Wikiは構造を大きく変更することが難しいので推奨されない
コミュニケーションガイドラインを明示する
前向きな意図を想定する
相手が「何かを良くするために適切に努力している」とまず想定すること
思いやりを持つ
面と向かって直接言えないような言葉を使わない
aereal.icon わかりやすい基準
インクルーシブな表現を用いる
発言に責任を持つ
Valueの模範を示す
フィードバックは必要不可欠
ハラスメントポリシー、行動規範、倫理規程を遵守する
自分たちがコントロールできることに集中する
そのほか
同じテーマで非同期のコミュニケーションが三度発生したら同期のミーティングを推奨する
会議の前に議事録をカレンダーに添付する、アジェンダを事前に共有する
ツールの種類を最低限に抑える
あるツールを導入していないメンバーがいるとアクセスできない→コラボレーションを阻害する
経営陣のデフォルトをリモートにする
経営陣からリモート化することで本気でリモート組織を目指す覚悟があるという強力なメッセージとなる
「音声品質が低いとより良く重要であると判断する」「(聞き取りが)難しいメッセージは説得力が低くなる」という研究結果
適切なデスクの設置やライティングなどのレクチャー
インフォーマルコミュニケーションを設計する
業務とは関係ない非公式なコミュニケーション
GitLabの取り組み
Visiting Grant Program: 同僚と集まって交流するための旅費を会社が支給する取り組み
インフォーマルコミュニケーションの意義
従業員のパフォーマンスを上げる
有形・無形な資源を交換しあっている関係のこと
有形: 金銭
無形: 尊敬、愛情、承認、etc.
社会的受容がパフォーマンス・職務への満足などを向上させ コミュニティに受け入れられていると感じる度合いのこと
会社が自分の居場所なのか迷いのあるメンバーに対してこそ、インフォーマルコミュニケーションを通じて親密さを示し、自分の居場所だと確信を持ってもらうことがパフォーマンスを高めてもらうために必要
社会的孤立
知人や家族などとの交流が物理的にほぼない状態
孤独感
自分は一人であるという感情
物理的にせよ主観的にせよ一人でいると強いストレスを感じる
孤独や衰弱は脳が報酬が足りていないことをアピールするために行われると考えられている
他人と協力して物事に向き合ったり、愛する人たちに想いを馳せたりすることなどで報酬効果を得られる
予期しない発見や刺激に対してドーパミンニューロンが反応する
→ インフォーマルコミュニケーションは量だけではなくコミュニティの一員として認められていると思える質も大事
より良いリモートへの12ステップ
経営陣は原則リモート環境で作業していますか
チームメンバーは、勤務時間を自分で決めることができますか
仕事に関するコミュニケーションは非同期前提ですか
Valueとその活用方法が明確に定義され、文書化されていますか
すべての部署が活用するツールは統一されていますか
ハンドブックをあらゆる判断の基準として活用していますか
友情を生み出す方法が定義されていますか
一人一台のPCと各種デバイスが提供されていますか
交流機会を意図的かつ定期的に容易し、公開されていますか
Valueの体現を採用・賞賛・昇格基準としていますか
個人の作業環境を向上させるために費用を出し、自宅以外で作業する場合にも補助を行っていますか