中身がぎゅっとした...、歯ごたえ大事
今日は”今”の”好き”なものについてお話します。(3分か5分くらい、帰りの電車の中や眠る前のあなたのお時間ください)
自分は、偏食でした。
好き嫌いがはげしいとか”好き”なものしか食べないとか、そういう意味ではなく。
一度”ハマる”とそれしか食べなくなります。毎日、本当に毎日同じものを選んで同じものを口にします。
それは食べ物に限らずです。
何かを買いに行っても、周りにたくさん並んでいても、それしか目に入らないし、それしか手に取りません。
”欲しい”からとか”好き”とか、そういう感覚ではなく。
じゃあなんで、と。それは単純で、同じものということに安心感をおぼえていたからです。
同じことを同じようにきっちりと繰りかえすということは、その前段に、「それは安心できるものだよ」という証拠があって、”不測”や”失敗”がないとわかっているから、結果的に自分への弊害がすくなくて済みます。
そこに安心感をおぼえたのは、テンプレート通りのセリフと笑顔を向ければ「なんか上手く乗り切れるんじゃんね」と気づいた小学生のころで。
一度ためして、安心だ、と確信したものを、ただ只管に、繰りかえしていました。
テストの勉強方法とか、ノートの書き方とか、こうやっては発言すればみんなハッピーハッピーみたいな。
その繰りかえしを、やめたくなったのは大学2年生の春でした。
繰りかえしに安心して繰りかえしで満たされていたのに。
じゃあなんで、と。それはちょっと複雑で、”不測”や”失敗”の繰りかえしがないことに不安をおぼえたからです。
ちょうど、公務員になるための道をぶん投げて、たっくさんのいわゆるベンチャー企業で働く人たちとお話しするようになったとき。
テンプレートだと弊害はすくないけど、その多くはない弊害に出会ったときに、なにを手に取ればいいかわからなくなったからです。”弊害をすくなくして生きるための選択肢”しか手に取ってこなかったから、周りにいくらたくさんのものが並んでいても、いくら目を凝らして見ても、なににも手を伸ばせなかったからです。
だから、安心感を手放しました。それは、大学4年生の春。
設立7年目の総勢16名のスタートアップベンチャーに、安定とか安心とか絶対とか捨ててエンジニアとして飛び込んだ瞬間で。
理想も確証もなにもなくて、ただ只管に現実と向き合える環境が、”欲しく”て選びました。
PCは、レポートでWordやExcelを作成する程度で、MacBookを渡されたとき、InternetExplorerってどうやって開くんだろって思っていました。
それからは毎日同じじゃないことが当たり前で。
それは突然でした。
ある日、「ちょっと一緒にきてくれる?」と代表とCOOとCTOに連れられ、日○レを横切り、
日本でも世界でも、たぶん10本指には入る某大手広告代理店の会議室で、よく分かんないけどすごそうな人たちと名刺交換をしていたときはさすがに”不測”すぎて”(説明)不足”すぎて笑うしかありませんでしたが。
その日から、
それまで、黒い画面で
MacBook-pro:~ takamori$ pwd
と
MacBook-pro:~ takamori$ cd hogehoge/
と
MacBook-pro:~ takamori$ ls
しか打ったことのなかった自分が、その企業の理想がつまったビッグなプロジェクトの開発および運用のサポートメンバーに、とエンジニアとして飛び込まされました。(サポートメンバーっていうより、むしろ自分のことをサポートさせてしまっていたけれど笑)
1日何千億件みたいな桁が意味のわからんビッグな個人データを転送するシステムを監視して、コマンドぽちぽちで加工したり移動したり解析用プラットフォームに格納したり、バグとたたかったり、ミスったら加工する前のデータを抽出して加工し直したり、”不測”や”失敗”を口に入れる毎日を繰りかえしました。
データ加工失敗したり、コマンドをミスってデータ吹っ飛ばしたり、吹っ飛ばしたデータ復旧に深夜関係なく時間を費やしたり、「昨日の視聴ログデータ1個も移動してねえ!」と叫びながら急いで解析したら、実は○ーグルのクラウドシステムのトラブルが原因だったり。
自分の持てる、見えているものでは対応できないことばかりで、周りにあるたくさんに選択肢から戦術を考えないといけないし、手に取ったそれが100%安心できるものではないし。
でも”不測”がとんでもなく”好き”で、もっともっと”欲しく”なりました。
半年後には、黒い画面で
MacBook-pro:~ takamori$ aws s3 cp s3://hogehoge/hoge/fugafuga/fuga/hogefuga/hohoh/20YY/MM.tsv.gz - |gunzip |wc -l test_data…
とか
MacBook-pro:~ takamori$ gsutil cp gs://hogehoge/hoge/fugafuga/fuga/hogefuga/hohoho.tsv.gz - | gunzip | python hogehoge.py | gzip -c | gsutil cp gs://…
とか
MacBook-pro:~ takamori$ bq ls -n 1000000 hogehoge_data |grep 20yymm |grep fugafuga…
とか打ち込んでいました。
その3ヶ月後には、
「このCMのメタ追加してけれー」というご依頼にjsonスキーマをごにょごにょしたりして登録対応したり、「この計測データなる早で欲しいんでおねしゃす!」というご依頼にshellスクリプトごにょごにょで対応したり、求められる仕事の領域をどんどん広げさせていただき、プロジェクトの運用作業をたくさん吸い取らせていただきました。
そのプロジェクトで、自分をほぼ1から育ててくれて、バック側の楽しさを教えくださった人たちのことは、今でも大好きだし、大切です。
それは突然でした。
ある日、いつものように黒い画面を流れる数字と英語の羅列データを流し見しつつ、打ち慣れたコマンドを叩いていたときのこと。
「この大流はどういう人たちのデータで、どういう場所でどう使われていくのだろ」と、Enterキーを叩く前に手が止まりました。
なにやらその先が気になっているっぽい自分と向き合いました。
大事にされて、その場に満足していた自分を拒み、あれもこれも知りたくなっている自分を大切にしたくなりました。
だから、満足感を手放しました。それは、今年の5月。
「ずっと」を求められているその環境に満足して、知らず知らずのうちに安心感をおぼえていたと気づいてしまったから。
(まあ他にも、自社に色々遣る瀬無さを抱いていたりとか事情はありましたけどね)
自分は、偏食でした。
ちょっと昔は、安心感に偏食していました。
同じじゃないものに手を伸ばせるようになるには、
周りにたくさん選べるものを作らないといけない。たくさん経験して、おぼえて、使えるようになれないといけなくて。
今は、”不測”に偏食傾向にあります。
”不測”は、絶対に満足度が100%にならないから。対応するにはたくさん”失敗”も手に取らないといけないんだけども。
先立って証明できるものがすくなくて、”不測”や”失敗”とじっくり時間をかけて向き合うこともできる今の環境は、
毎日、本当に毎日繰りかえしても全然満足できなくて、
ただ只管に、”欲しい”もので、この先も”好き”でいれるものかなと思うんです。
自分がこの先、同じものを手に取り続けるとしたら、それは、”好き”だからです。理由はそれだけです。
ちょっとかっこよさげに書いてみたけれど、0.000..1ピクセルもかっこよくなんかなくて、全然キラキラもしていませんが、自分から”好き”だと”欲しい”と思ったものに、きっと自分はなにかを手放してでも飛び込みます。
で、口元にシワが刻まれる前までには、20代から口に入れてきたたくさんの”不測”や”失敗”が「おまえらこんなとこで繋がっとったんか!」と思えるような、ぎゅっと中身の詰まった自分を生きていたいな、と。(まあ無理やりでも繋げるんですけどね)
口に入れるなら、ふわふわゆるゆるもいいけど、やっぱり中身のぎゅっと「歯ごたえ」があるものが”今”は”好き”です。
ただ只管に、歯ごたえのある毎日が”今”は”好き”。ただそれだけのお話です。
今の会社に転職をして半年。あまり余裕がなかったので、ちょっと振り返ってみました。
(歯ぐるまんをクリックして、出てきた歯ぐるまんをもう一回クリックすると公式サイトに飛ぶよ) https://gyazo.com/5862bb4eaab4db90c007c58141c8d959 https://www.sanrio.co.jp/character/hagurumanstyle/
次は、ベトナムからおかえりなさい!の竹内さんです