「3密」を避ければ感染は防げる、妥協なき取り組みが不可欠だ
──新規感染者は大きく減りました。「せっかくここまで頑張ったのだから、もう少し頑張ってゼロにしよう」と言う人もいます。
実をいうと、専門家の有志メンバーがオープンに議論する場があって、時にはみんなで怒鳴り合いながら、かつ健康的にその話し合いをしたことがある。そのときは、国立感染症研究所の同志の先生が「これだけ下げられたのだから、1回、韓国や台湾のように新規感染を消さないか」とみんなに聞いた。「そうすれば、再び海外から感染が入ってくるまでの短い間かもしれないが、『新しい生活様式』ではなく、本当に元の生活に戻れるよ」と。それでみんな「さあどうするか」と話し合った。
そのときわかったのは、新型コロナでは感染者全体の約30%が不顕性(無症状)と推定されているが、さらに、症状が軽微で気づかなかったりする人も相当数いること。検査で確定した患者が氷山の一角であるという度合いは激しい。
仮に東京の自粛が5月いっぱいまで続いたうえで、さらに1カ月それを続けても、歓楽街などのハイリスクの場で火種は完全には消えていかないだろう。新型コロナを完全にゼロにするには相当の日数がかかるため、経済への打撃を考えると、さらなる行動制限を伴う可能性が高い排除というものは、選択肢としては見通しが立てがたいだろうという結論に至った。