新型コロナウイルスに我々はどう対峙すべきなのか(No.3)
2020年2月15日
私は、国内で感染連鎖はすでに起きていてその感染連鎖が見えていないだけだと考えていた。ただ、ウイルス性肺炎はまれにしか起こらずウイルス性肺炎を疑わせるような症例が複数例見つかるような事態が起これば、日本では感染連鎖はきっと見つかるとも考えていた。おととい(2月13日)以降、日本では各地で感染者が見つかっている。見えていなかった感染連鎖が急速に可視化されつつあるのが今の日本の状況であると考えられる。
2月13日から14日に相次いで見つかった感染者の持つ意味は、これまで見つかってきた感染者の持つ意味とは大きく異なる。これまでの感染者は、クルーズ船での感染例を除くと、チャーター便での帰国者を含めほとんどが武漢を含む湖北省に渡航歴のある人、もしくは渡航歴のある人との接触があり、渡航歴のある人から直接感染した可能性が考えられるような感染例であった。この2日間に相次いで見つかってきている感染例は、ほとんどがこのいずれにも該当しない。これは国内で感染連鎖がすでに起きていることを強く示唆するものである。
私は日本で感染連鎖が可視化できるのはもう少し先かもしれないと思っていたし、このように感染連鎖が同時多発的に一気に可視化できるともあまり想定していなかった。これは、日本の臨床現場の医師の能力と意識の高さによるものであることは明らかである。現場の医師たちはクルーズ船という本質的でないことに目を奪われておらず、この問題と目の前の患者に真剣に向き合っていたことを示すものだと考えられる。
しかし、まだ可視化できているのは一部である可能性が高い。今後、日本各地で同様の症例が相次いで見つかってくることは十分に考えられる。見つかった感染例の周囲の人でも感染者は次々に見つかってくるだろう。