読書感想「日本人の勝算―人口減少×高齢化×資本主義」
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わたしの最近の興味関心は、急激な人口減少・高齢化に対して、「大変だぁ」「もうどうしようもない〜」という論調を展開するのではなく、それを踏まえた上で「日本の進むべき道」を展開している本です。 今は、この本ではない本を手にして読んでいるところですが、今日は、大学外に出る用事もなく、授業や授業準備もめずらしく特段する必要がなかった1日だったので、この本に書いてあることを整理する時間を多く取りました。
何度か書いていますが、わたしはScrapboxをいくつかに分けて使っていて、今、みなさんが目にしている(読んでいる)abetakalabというScrapboxは全公開していて自分のブログ(ネットに接続している人なら誰でも見られる)としています。これとは別に非公開で誰にも見せないScrapboxを日々使っており、これがいわば私の第二の脳として機能しています。 ここに、読書記録も積み重ねています。上の本はKindleで読んだので、自分が気になる文章をそのままネットにメモできるので、それを誰にも見せないScrapboxにコピペした後、キーワードを「[]」で囲んでリンク化しておくわけです。そうすると、いろいろな言葉があっちこっちでつながって、自分の興味関心が脳の中ではなくScrapboxの中で(みなさんにはお見せしませんが)つながっていくというのがわたしの第二の脳の構造。
さて、本書。
経済の面からどんどん切り込んでいき、かつ、イギリス、アメリカ、ドイツを中心とした各研究機関、各研究誌、各専門誌のエビデンスをもとにこれからの日本の進むべき道を提案しています。 この本に対抗する考え方があれば、それを読んで双方批判的に吟味して私自身の考え方を整理していく必要があるでしょうが、学ぶところ大でした。
人口増加が見込めない日本は「生産性向上」に注目して歩んでいくしかない。
GDPなどと言う古い指標などどうでもよいという方もいるが、社会保障(年金、医療費等)の源泉はGDP総額なのでGDP総額を無視できない。 日本は先進国の中でとんでもなく生産性の低い国の一つである。
しかし、人材という意味では先進国の中で高い方に位置づけられている。
つまりは、「よりよい人材」を確保している国にも関わらず、「生産性の向上」に結びついていない
この矛盾の解消が、今後、急激な人口減少・高齢化が進む日本にとって自分たちの未来を切り開いていく道である。
具体的な方法としては「最低賃金引き上げ」を政府主導で行うこと。「最低賃金引き上げ」による生産性の向上に関するエビデンスがある。
また、日本では「経営者」(や社長)の能力の低さが顕著(つまり、有能な人材を生産性向上と結びつけるシステムにできていない)なので、労働者の教育とそれ以上に経営者の再教育が必要 ……と、まぁ、こんな感じ。
この本の流れや、提示してくれている膨大なエビデンスをすっとばして書いているので、何が何だか分からない方も多いでしょうが、この本の流れに素直に沿って読んでいったわたしにとって納得できる話ばかりでした。
わたしは経済学者ではありませんし、そこからどうこうするということではありませんが、ここから、自分の立ち位置である「教育」というところに目を向けてしまいますし、どうにかできないかなぁと考えます。
例えば、
この話全体を「日本」という国ではなく、たとえば自分が関われるかもしれない足元である「自治体が進める教育政策」「学校経営」「学級経営」「授業づくり」「学級づくり」「生徒指導」「地域や保護者との関わり方」にずらして考えられないかと思います。 何度も何度も繰り返される「生産性」という言葉がひっかかり、教育、学校や学級の中で「生産性」をどのように考えていったらいいのだろうと考えます。
経済の理屈を学校教育に持ってくるのは危険かなぁ……。でも、このまま重ねることはできないけれど、人口増加が前提だった社会と人口減少が前提の社会ではやはり大きく何かを替えなければならないのだよなぁ……とか。
「経営者」の無能さかげんと学校での管理職との関係とか。 直接、学校や学級にどうのこうのではないけれども、新しい考えや動きを展開するときのヒントになりそうで、頭の片隅において生活していきたいと思いました。
さて、次の本、次の本。
時間ある時に、たっくさん本を読み進めなくちゃね。