読書感想「カール・ロジャーズ入門―自分が“自分”になるということ」
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ここ1,2年のわたしの最大の興味関心は「対話」です。「対話」の本を黙々と読んでます。そしてScrapboxにメモしてます。 その流れで、急に興味関心が湧いてきたのが「傾聴」です。 そこでまずは「入門」を。
諸富先生といえば、諸富先生ご自身はわたしのことなど覚えていらっしゃらないでしょうが、東北青年塾で一度お招きし学んでおります。わたしたち、東北青年塾生は諸富先生のキャラの濃さ、メッセージの強烈さに圧倒されまして、東北青年塾を解散した後でも語り草の一つとして残っています。 勝手に、一度だけ目の前でお目にかかった諸富先生のお顔、物腰、表情を想像しながら読んだからでしょうか。いえ、そんなことはないでしょう。そのことを差し引いても、とてもとても読みやすい本でした。
「カウンセリングの神様」と称されるカール・ロジャーズを一人の人間カール・ロジャーズとして見て、資料をもとに丁寧に丁寧にカール・ロジャーズを初めて知る(わたしのような)読者にわかりやすく説明していく文体。諸富先生のものすごさを感じます。 以下の5部編成で書かれた362ページにもわたる対策。「第5部 資料篇」ではロジャーズの資料をただ紹介するだけでなくて、一つ一つ丁寧に解説しています。つまり、(こういう本を書くのだから当たり前なのかもしれませんが)ロジャーズに関するあらゆる資料をしっかりと把握した上で書かれていることがわかります。
第1部 人物篇
第2部 自己発見篇
第3部 臨床篇
第4部 補論
第5部 資料篇
「第1部 人物篇」はいわゆる伝記です。ロジャーズの生まれたときから亡くなるまでのことが書いてあります。主張、仕事の成果、等々は実生活とつながっているので、このあたりがわかった上でロジャーズの主張を読んでいくとなるほど結びついて面白いです。
「第2部 自己発見篇」ではロジャーズの考え方、主義、主張が整理されて書かれてあります。第1部の人物篇があってこそ親しみを持ってロジャーズの考え方に近づいていけます。
「第3部 臨床篇」はもう少し、ロジャーズのコアな部分に触れています。現場を大切にしたロジャーズ、理論だけでなく実際に数多くのカウンセリング、セラピー、ワークショップを行ってきたロジャーズ。この実際の場面に迫り、ロジャーズの内面に迫ります。 対話にしても、傾聴にしても、現場とか実践と考えると、すぐに「スキル(技術)」に目がいってしまう可能性がありますが、大切なのは「なぜにこれを行うのか(目的は何か)」「これを行う意義は何か」です。そのあたりのことを知ることができる素晴らしい本です。ここから、教育現場、授業づくり、学級づくり、へどのようにつなげていくか、研究していくか、しっかり考え直してみたいと思います。
もちろん、閉じたScrapboxに本書に書かれた魅力的な文章を書き出して、いつでも参照できるように、引用できるようにしておきます。