書籍紹介「社会科教材の追究」
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わたしが社会科と縁遠くなり,かつ,常日頃ボウッとしているからと思いますが,こうした「教材」に焦点を当てて丁寧に文章を紡いでいく本は久しぶりのような気がします。
その教科ごとに,独特のものがあると思いますけど,社会科の独特のものと言えば,なんといっても「教材」とその教材をもとにどのように授業を進めていくかというプランですよね。
今はそういう人も(が?)多いのかもしれないけれど,社会科って,基本,教科書の中で完結しないことが多いです。教科書の他からいろいろと見つけてきて結びつけたり,持ってくることができない場合は子どもたちを直接その場に連れて行ったり(今だったら,簡単に映像を撮影して編集したり,もっと直接的にオンラインでつないだりするかもしれませんけどね)と,それが社会科大好きな教員にとっての魅力なんですよね。一方,社会科が嫌いな教員にとってはこの「教科書だけでは完結しにくい」ということが最大のネックという方も多いと思います。
もちろん,わたしは,子どもたちにとっての価値ある社会科授業を夢見て,ああでもないこうでもないといろいろと考えるのが大好きでした。
平成元年に教師になり,かつて,子どもたちに価値ある社会科授業を創り出すぞうっ!!と思っていた頃は,土日はもとより,長期の休日等は教材研究の旅を日程を組んででかけていったものです。
駆け出しの頃とか,道具があまり揃わない頃(デジタルはおろか,,デジカメなどが使えなかった頃)のほうが思い出がたくさんあって(自分も歳をとったものだ),
わたしが長期の教材研究取材にでかけたのは,教員になって2年目(平成2年)。新潟県の小千谷市だった。ここは,「克雪都市宣言」というのを行っていて,他の雪国とは少し違ったスタンスで雪と付き合っているように見えたのです。
インターネットがない時代(パソコン通信をボチボチ始めていた時代),在来線で乗り継いで小千谷市まで行ったことを覚えています。何のつてもなく,とにかく冬の(たぶん,冬休み中)小千谷市に行ってみて,(フィルム)写真をバンバン撮って,地元の書店に入って,市役所の関係部署へ行って,そうすればなんとかなる……と思っていました。
地元で言えば,福島県郡山市にある布引大根。嬬恋村のキャベツのように,高原で育てる結果,旬をずらした収穫をすることによりおいしく,かつ,ブランド力をつける……のような感じだったので,とにかく取材だ取材だ!!とでかけていったことを覚えています。
でもねぇ〜。
わたしには力がなかったのです。
わたしが教員になった頃は,教育技術の法則化運動の頂点(から少し下がる頃になるのかな)でした。法則化関連の書籍を読み漁っていた私は,自分の性格と重なり,追試(まねる)ということはそれなりにできたのですけど,そこから発展させて自分なりのオリジナリティを身につける……というところまでは至りませんでした。
と,まぁ,わたしの話はともかく,皆さん,教材研究する時間,確保できているかなぁ。教材研究を楽しんでいるかなぁ。
わたしは自分に力はなかったものの,教材を準備して授業をすすめるということを楽しんでいました。
この雑誌は,教材研究の宝庫みたいなものでした。
毎号毎号,みなさんがどのように教材を発見し,発掘し,開発していったかがわかったのです。
また,この雑誌で紹介される本も魅力的でした。
例えば,佐久間勝彦先生の「教材発掘フィールド・ワーク」(日本書籍)。
なるほど。教材ってこのように発掘していくのかと思いました。
例えば,谷川彰英先生監修の「授業って面白いね!先生」シリーズの本。
1単元15時間とか17時間とかかけて,進める授業を1冊の本にしたものを読み,教材研究を行ない,それを授業化するということはこういうことなのかと学びました。
ぜひ……ね。
今なら,この本があります!!!!
ぜひ,今のみなさんにはこの本を読んで,教材研究の作り方を学んでほしいです。
本当なら,こういう本をわたしが書けたら自分自身うれしいけれど,悲しいかな,わたしにはストックがなにもないから書けないわけで……涙。
そんな中,一緒に活動をともにすることが多かった佐藤正寿先生の監修でこのような本が出るというのはさすがだなぁと思いました。
全193頁というたくさんのコンテンツ。
そこには,
社会科の「教材」とは
様々な「教材」
「教材化」の具体
「教材化」の道
という,若かりし頃の阿部教員にぜひとも知ってほしい内容がたくさんあります。
これを知っていたら,もう少し子どもたちに価値のある社会科授業を提供できたかもしれません。
「社会科」が得意な方も苦手な方も,「社会科」にちょっとでもひっかかっている方は手にとって見てください。