感想「犯罪者」上下
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Audibleで聞いた「幻夏」がとっても衝撃的で,近年になく感動したので,この作者の作品が他にAudible版が出ていなくて,かつ,この作品(「幻夏」)に出ていた3人の主人公が,主人公の作品が他に2つあるということを知り,まず,3人の主人公が初めて登場するこの作品を手にした。 これも傑作だった。
無差別殺人の描写から,とにかく圧倒される。
ストーリーとしては,いくつもいくつも伏線を張り,これでもか!というくらいに読者を合っと言わせたり,(いい意味での)裏切りをさせるように導いていく。
テーマとしては,子どもの(人間の)命に関わる「まちがい」を企業が犯してしまったときにどのように振る舞っていくべきか,架空だし,そういうことを実際の企業にはしてもらいたくないが,もし,何らかがあったときの「企業」vs「個人」そして,圧倒的第三者としての世間や世の中について,いろいろと考えさせられた。
いやはや,この方の「筆力」というか,物語を紡ぎ出していく力がすごい。
最近何度か,「推理小説や犯罪小説,事件小説の類は,生理的に受け付けなくなった……」みたいなことを書いていたけれど,「幻夏」をきっかけにまた,のめり込みそうな雰囲気。 この作者は,推理小説という「謎解き」に関しても,わくわくさせると同時に,人間模様というか人間の心の奥深さをグンッとついてくる感じがあり,それにわたしはやられている感じがする。
幸い,東野圭吾さんなどと違って,出している本の冊数があまりないので,すぐにこの方が書いた本は完読できそう。
つぎは,やはりこの3人が主人公の「天上の葦」という本があるらしい。 早速読もう。