Audible版-瀬尾まいこ著「そして、バトンは渡された」感想
https://m.media-amazon.com/images/I/41SDrHVSQiL._SL500_.jpg
何か,事件や事件と言わないまでも物語に意外なヤマ場を求める人にとってはあまりおもしろいと思わない本かもしれない。 前にも何度か書いているように、私は最近、残酷な事件や日常生活の中でどうも起こり得ないだろうと思われるようなストーリーをあまり読みたいと思わなくなってきたので、この物語は 淡々と進む感じがして、面白く読めた。 もっと言えば主人公が結婚をするところで物語は終了するのだが、この先も延々と読んでいたいような、聞いていたいような感じがする本だった。
とは言いつつも、先の表現と矛盾するようだが、このお話は日常生活、現実にはあまり起こり得ないだろうと思われるところが多々ある。
一番は、保護者が4人入れ替わっているところだろう。 厳密に言えば、苗字が4回変わっていると言うことになる。 そうするとどれだけこの主人公は悲惨な生活を過ごしてきたのか、または、保護者との関係上どんな大変な生活を過ごしてきたのだろうと考えてしまうかもしれない。 しかし、ここに関してはさらりとしていて、生まれたばかりに母親がなくなっていること以外は保護者がなくなっておらず、存命で過ごしている。 しかも、その保護者たちとの関係も悪くない。 だからと言うことだろうが、主人公は全く屈折した性格にならずに、むしろまっすぐな性格のまま成長すると言うストーリーになっている。
物語の多くは、この主人公と保護者とのやりとり、エピソードが書かれていくわけだが、その中で親子の関係を色々と想起させるような内容になっている。 これは、どの物語を読んでもそうだと思うが、自分の立場で物語を読むので、私は親と言う立場でこの物語を聞いていたから、とてもとても自分の人生を振り返るような感じがして、つまり、 話を読みながら(聴きながら)、自分はどんな親だったかなぁ、どんな付き合い方をしていたかなぁ、などと考えながら読み進めた。
ほぼ、子育てを終わろうとしている自分がいるわけだが、人生が続く中で親と子供の関係は続くわけで、この物語のような親子関係をずっとずっと続けることができたらいいなぁと思いながらこの物語がずっと続くといいのになぁと思って読んでいた。