Audible感想「同志少女よ、敵を撃て」逢坂冬馬著
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噂の本Audibleで聴ける幸せ
2021年に出版された噂の本の中の一つ。
とにかく,自分の興味関心の範囲の中で,噂になった小説は読んでおきたいと思う。
とはいえ,本もそれなりに高額なので,わたしは小説に関しては極力,ハードカバーは購入しないことにしている。
結果,文庫本になってから購入することになり,小説に関しては数年ブームを終えたものを読むようになる。
(小説に関しては)流行の先端を走ろうとも思っていないので,それでいい。
幸い,小説は自分の一生をかけても読みきれないほど溢れている。
Audibleの会員になっていることは過去に何度か書いている。
このサービスは最近,最初の頃のサービス「聴き放題」に戻ってうれしいのだが,時々,このサービスに最新刊も入っている時がある。
突然,Audibleのタイトルにこの本が示されて,すぐに読み始めた(いやいや,聞き始めた)。
Audibleはすでに自分の生活に染み込みつつある。
自分のペースで読むことができる小説のよさがあって,Audibleは読み手の読む速度に合わせなければならない一方,読み手が工夫を込めて読んでくれる結果,ドラマ的に聞きすすめることができる心地よさがある。
女性狙撃手,第二次世界大戦のソ連を舞台にした物語
舞台は第二次世界大戦中のソ連。
主人公は大学に入る年頃の女性狙撃兵士である。
簡単な言葉でまとめてしまえば,彼女の成長物語。そして,その中心は世界史に疎いわたしでも知っている「スターリングラード」の戦いとその前後から終戦にかけて。
ソ連の事情,生きる意味,「女性」狙撃手,戦争とは,人を殺すとは……
今までわたしが手にとるような領域(?),方向性(?)の小説ではないのだが,この本が出版された当時,この本を読んだ方々のレビューがわたしの背中を押した感じ。
わたし,歴史小説とか伝記のようなものは小さい頃から好きなのだけど,どちらかというと日本限定なのだ。
ほぼ,世界史のことはわからない。
もちろん,フランス革命とか第一次世界大戦,第二次世界大戦……と大きなトピックのことは知っているけど,自分の日本史の知識に比べたらほぼ何も知っていないと同程度。
ましてや,ソ連のことなどは……。コルホーズとかソフホーズくらいの名称,レーニン,スターリンくらいは知ってはいるけどね。
なので,この物語の背景としてドドーンと覆い被さる,ソ連の事情,ソ連とドイツとの関係,女性が兵士として関わるということ,しかも,狙撃手という位置づけ,その精神状態……。
読みながら(いえ,聴きながら),思い巡らした。
わたしにとって狙撃手と聞くとすぐに思い出すのが「山猫は眠らない」という映画だ。
調べると1993年の映画らしい。トム・ベレンジャーが主人公を演じて,狙撃手目線で南米のジャングルの中を潜んだり,駆け巡ったりしていた映像が思い浮かぶ。映像の作り方が独特でこれ,シリーズ化されて「8」まで続いていたんだね。わたしが見たのは一番最初の作品。たぶん,最初の作品が最も注目されたのではないだろうか。
この映画も,考えてみれば,自分からは見に行く感じの,ジャンルの,映画ではなかった。たぶん,友達にこの映画は見ておいたほうが良いと言われて見に行ったのではなかったか。29年前にもかかわらず,ちゃんと脳裏に残っているのだから,わたしにとって価値あるものだったのだと思う。
今の自分とはかけ離れた時代。
生と死が背中合わせの時代。
だからこそ,生きること愛すること,を必然的に考える,感じる。