Audible「64(ロクヨン)」感想
ストーリーが何層にも重なっていて、聞いている人間にとってどのお話が中心なのか混乱するかもしれない。とはいいつつもストーリーは以下のような明確に区分されたすとーりが重なるように描かれている。
まずは、タイトルにもなっている、数日間だけあった昭和64年、におきた少女誘拐ならびに殺人事件を巡るお話。
それに重なるように見える、主人公の娘の家でとその妻、つまり家族の話。
そして、主人公の仕事場である県警察の広報に関する話。
この警察に関わることも、よくある警察話とはずいぶん異なっていて、警察内部の権力構造や警察とマスコミとの関係などを詳細に描いている。
警察内部に関しては刑事課と警務課との権力闘争、中央と地方との権力構想などを絡み合わせながら話を進めていきより複雑さを強調している。
一貫しているのはどの場面においても主人公の悩みと葛藤を中心に話を進めているというところである。
とはいいつつも、私から言わせれば、主人公も(自分のことを棚の上に上げるけれども)、ずいぶんと古い体質の生き方、考え方をしている。