目に見えないモノを見よう ー光と医療ー
15日目、かにです。
Scrapboxに記事を書くのは初めてなんで、何か間違ってたら後から直しますね
はじめに
ここ最近(というかかなり前から)医療の現場でホットなキーワードに”低侵襲”というものがあります。
低侵襲というのは読んで字のごとく侵襲性が低い、つまり患者さんの体をあんまり傷つけずに検査や治療を行うというものです。内視鏡とかが代表的ですね。
これが出来ると検査治療にかかる時間も短くなり、患者さんの負担も少なくなるのでいいことばっかりです。
今回はこの低侵襲な医療の中で、これから来る(かもしれない)光を使った医療について簡単に紹介していきます
目次
そもそも光に何ができるの?
医療機器への応用
研究用への応用
今後できそうなこと
まとめ
そもそも光に何ができるの?
光って言われて何が頭に浮かびますかね?
明るい、あったかい、綺麗など...いろんなイメージがありますよね
光には
散乱(反射・屈折・回析)
吸収
透過
干渉
偏光
といった性質があることは物理の授業で習った人も多いのではないでしょうか?
こういう光の性質って実は何気ない日常の中で無意識のうちに体験してるんですね
よくある話しで言うと,リンゴが赤く見えるのは何故か?とかもそうですね
リンゴに光が当たると、表面に分布するアントシアニンという物質が青、緑の波長の光を吸収し、
赤の波長の光を散乱させます。この散乱光を目が受光することで人はリンゴが赤いと認識します。
(目の作りとかは10日の寺本君の記事を読んでください!)
ここでポイントなのは、光が何かに当った場合散乱した光はその何かの情報を持っているということです。
https://gyazo.com/998284a920f088a870ff782dd50dbb65
じゃあヒトの体に光あてたら?その散乱光はどんな情報を持っているの??
ここに光が医療の現場で活かせる可能性があるのです!
医療への応用
ここからちょっとだけ専門的な話し
ヒトの体の中にはヘモグロビンとかメラニンとかたくさんの色素タンパクが存在しています。
色素たんぱくはそれぞれが固有の吸光スペクトルを持ってるんですね。
ヘモグロビンなら赤を吸収しにくい(反射しやすい)とか決まってます。
雑に説明すると光を当てて散乱した光の中に赤の波長が多ければ、めちゃヘモグロビンあるやん!ってことになります。
この散乱光をカメラで受けて画像解析すればどこにヘモグロビンがどれくらいあるのかを定量的に評価できて可視化することもできたりします。
(こんな感じの研究してたんで興味あるなって人はお声がけください)
もう少しだけヘモグロビンの話しを詳しく
ヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役割を担っています。動脈のヘモグロビンは酸素と結合した状態であり、酸素を運び終わった静脈内のヘモグロビンは当然のことながら酸素と結合していません。
この"酸素と結合しているかどうか"で吸光スペクトルが変わってきます。酸素と結合していないと紫っぽい濃い色になります
この吸光スペクトルの差を利用して血の中に酸素がいっぱいあるかどうかを測定しているのがパルスオキシメーターです。
医療ドラマでよく患者さんの指先についてるアレですね。
Doctor X 12/19(木)夜9時から最終回2時間拡大スペシャルでも出てくるかもなんで要チェックです
研究分野への応用
この光で体の情報を読み取るという原理を使った研究用の機器に近赤外光イメージングってやつがあります
↓リンクの「どのように計測・画像化しますか」の章をごらんください
どうです?強そうでしょう?
可視光よりも深くまで到達する近赤外光を使って脳のヘモグロビンの分布を見る装置です。
リハビリ、精神疾患、脳神経領域の研究とかで使われているみたい
まだまだ解明されていない脳の秘密を暴くために役立つ装置ですね
今後できそうなこと
光を使えば癌だって見つけられちゃう可能性もあります。
悪性腫瘍である癌は、自分が成長するために新しい血管を作って沢山の酸素を取り込みます。
皆さんもうお気づきですかね?酸素を運ぶモノってこの記事で何回も出てきましたよね。
そうです、ヘモグロビンです。
本記事で紹介した方法でヘモグロビンの分布を見れば、不自然に多く集まっている所に癌がある可能性があるわけです。
これまで癌を見つける方法といえば血液検査・X線レントゲン・CTとかがありますが、結果が出るまで時間がかかったり、体への負担が大きかったりと課題もあります。
光当てるだけで癌が有るかどうかわかったら凄いと思いませんか?
まとめ
光を当てたら生体情報を読み取れる
医療の現場でも研究でも実用化が始まっている
まだまだ出来ることありそう
本記事では光を医療に応用する話についてダラダラと書かせて頂きました。
光を使えば目に見えない体の情報を読み取れる可能性があるということだけ覚えといてもらえると嬉しいです。
光を使って早く安全に医療を提供する機器はどんどん増えてきています。
ただ、なんとなく皆さんも感じていると思いますが、光って体の奥まで届くの?
精度ってどんなもんなの?とかまだまだ課題はたくさんあります。
今後どんどん医療が発展していってみんなが健康で幸せに長生きできるようになると良いですね。