再生医療ってなに?
こんにちは!20日担当のあきもとです。
まず、投稿が遅くなってすみません!
2020年の目標はスケジュール管理をしっかりすることです。よろしくお願いします。
私は大学時代は再生医療分野の研究をしていて、機械科だけど細胞を育ててばかりいました。なので、再生医療について書きたいと思います。
再生医療とか細胞ってあまり身近な存在ではないと思うので、今までは関心が無かったけど面白い分野じゃん!と少しでも思ってもらえると嬉しいです。
再生医療で工学分野の人って何をやるの?って疑問にも答えたいと思います。ちなみに生物の専門家でもないので細胞の機能とかの詳しいことは知りません。。。
この記事では細胞と細胞組織を別物として書くので、細胞:1つの細胞の粒、細胞組織:細胞が何万個も集まって出来た組織と思ってください。
【目次】
再生医療ってなに?
細胞組織を作ってみよう
分厚い細胞組織を作るにはどうしたらいいの?
再生医療について思うこと
おまけ:細胞の力でこんなこともできちゃう!
再生医療ってなに?
再生医療で検索すると、下記のように説明されています。
"幹細胞などを用いて、臓器や組織の欠損や機能障害・不全に対し、それらの臓器や組織を再生し、失われた人体機能の回復を目指す医療" 引用:株式会社ヘリオス
ちなみに、中外製薬のHPの説明ががとても分かりやすいので、気になれば読んでみてください。 再生医療の代表的な治療方法をして、①細胞を疾患部に直接注射して細胞を接着させる方法、②あらかじめ体の外で細胞組織を作っておいて体内に移植する方法があります。①はよく利用されている治療法なのですが、細胞が疾患部に接着する前に流れてしまったりと課題が多々あります。そこで出てきたのが②です。②はまだ実施例は少ないのですが(特に日本は医療製品の認定が厳しいので、認定されている再生医療製品は少ないです)、これから広がっていくであろう治療方法です。今回は②について書きます。
細胞組織を作ってみよう
再生医療で使われる材料は細胞です。
細胞は直径約30μmの大きさで、人体の細胞は270種類、37兆個の細胞から成り立っています。この膨大な数で成り立っている人体も、最小単位にバラバラに分解すると小さな細胞になります。逆に、小さな細胞を組み合わせるといずれは人体が出来てしまいます。
でも、実際に実現している厚みのある細胞組織を調べてみると、大きくても1cm四方ぐらいの大きさです。実際に臨床で使われている細胞組織もハートシート(テルモ社)のような厚み100μm程の薄い細胞組織です。(ハートシート説明:) 現状からも分かるように、厚みのある細胞組織を作ることはとても難しいです。
分厚い細胞組織を作るためにはどうしたらいいの?
厚みのある細胞組織を作ることが難しい理由として、組織が厚くなると細胞組織の中に栄養が行き届かずに細胞が死んでしまうからです。
そこで、厚い細胞組織を作るうえで重要な役割を担うのが血管です。
体の中にはびっしりと血管が通っていますが、それと同様に作った細胞組織の中にも血管の構造を作る必要があります。この血管を如何に作るかが肝になってきます。
血管の種類は数十μmの毛細血管から数cmの大動脈まで、サイズも構成する細胞の種類も違う多くの種類があります。
https://gyazo.com/8368ee91682c97bde09ebe01a400de61
数々の血管の中でも毛細血管は構造が単純なので、細胞の自己組織化という細胞同士のシグナル伝達により細胞自身が移動して血管構造を構成することが出来ます。(培養するだけで勝手に血管になるなんてすごい)細胞組織の中に血管を作る研究の手法はこれが多いです。毛細結果を超える太さの血管になると培養するだけでは作れないので、人工的に構造を作ってあげる必要があります。
血管を人工的に作る研究は世界中で行われていて、3Dプリンタを使った研究が今は多いです。
3Dプリンタ…?そうです!ここで工学の出番です!
細胞をモノとして扱い構造物を作ります。3Dプリンタで血管を作る方法として細胞とゲルを混ぜたものを吐出して血管を書きます。
Nature MaterialsとかLab on a Chipで"3D printer, artificial vessels"とかで検索すると色々出てきます。ただ、3Dプリンターを用いて作ることの可能な血管構造も限られており、人工的に複雑な構造の血管を作ることはまだ出来ていません。軟らかくて濡れ性のある材料をプリントして構造物を作るのは難しいんですね。複雑な構造の血管をプリントできるような3Dプリンターを早く見てみたいです。何か情報があれば教えてください!
再生医療について思うこと
再生医療分野は今後飛躍的な発展が予想されるとても熱い分野だと思います。近年多くの企業が再生医療分野に参入していますが、細胞の培養装置であったり、検査装置や細胞分析装置などの直接細胞組織を作らない製品が多い気がします。企業が重点的に細胞組織作成に力を入れたら今の再生医療や組織工学の研究も飛躍的に成長するのではないのかなと思います。
おまけ:細胞の力でこんなことも出来ちゃう
細胞の力を動力としたロボットの研究が最近増えてきています。
その中でも私が好きな研究を紹介します。
①生きた筋肉で動くロボット
東京大学の竹内昌司研究室の研究です。国内の再生医療分野で新しいものが開発されたというニュースがあったらたいていここの研究室です。
②細胞を使ったエイ型ロボット
すごくないですか!!!このサイズでこの動き!!!おまけに見た目もかっこいい。
以上です。読んでいただきありがとうございました!!!