01 VR百人一首かるたにおける札取り動作の数理モデル解析とそのゲームスキル調整への応用
丸山礼華(津田塾大), 栗原一貴(津田塾大学), 山中祥太(ヤフー株式会社)
https://scrapbox.io/files/6565898cf256a4001c72d163.png
論文:
要旨:
本論文ではVR百人一首かるたにおける新しいゲームスキル調整方法を検討する。実験データの解析の結果、手で札を取る動作は、Fittsの法則のモデルに高い適合度を示した。またプレイヤが適切だと感じられるパラメータ変更の条件を得た。この範囲で手の大きさや札の大きさ及び札までの距離を変更することは、試合に十分影響を与える調整量となり、札を取る所要時間を制御し対戦者間の実力差を縮める手法として活用できる可能性が示唆された。
採録時コメント:
VR環境での百人一首を題材に、プレイヤー間の難易度を平滑化することを目指し、個々のプレイヤーに与えられている視覚情報(手の大きさ、札の大きさ)を変動させることによってゲームの難易度を調整する手法を提案し、その効果を実証的に検証しています。当該手法による難易度の変化を丁寧に評価し、かつユーザが不満や不適切に思わない範囲でも十分な難易度調整が可能であることを示しており、有用性の極めて高い知見を提供していることを踏まえると、採択にふさわしい論文であると思います。
参加者メモ・コメント:
matsumur.icon かるたが上手なAさんには0.8倍の大きさで出して、初心者のBさんには1.5倍でだすみたいな??
matsumur.icon スライドもカルタになっていて素晴らしい。
右正面ディスプレイがアクティブ状態でない気がします。ページリロードが必要かもしれませんnishiyama.icon
ありがとうございます!学生ボランティアが更新を担当しています!ShioMiyafuji.icon
なるほど、手動でプロジェクション更新しているのですね。レスポンスありがとうございます!nishiyama.icon
リアルタイムで更新されていないのは、ログインしていないため?seiki.icon
動作確認しました、確かにログイン状態でないとリアルタイム編集の様子が見えないみたいです!nishiyama.icon
なるほどありがとうございます!!ShioMiyafuji.icon
目的:スキルが異なる人でも対等にゲームを楽しめるようにする
目的意識は「ネイティブと非ネイティブがオンライン会議をするときにネイティブの話す言葉をゆっくりに変換する」みたいな研究に近い発想かもしれない narumi.icon
He et al., Why Did They Do That?: Exploring Attribution Mismatches Between Native and Non-Native Speakers Using Videoconferencing, CSCW, 2017.
腕におもりを付けてハンデ調整とかできないかな。筋肉のある人が勝つだけか🤔
部屋の入口から作られてるの、こだわりを感じるteramotodaiki.icon
運動レベルのスキルだけでなく、記憶でのスキルも効いてくると思うのですが、今回の研究は前者の解析と応用でしょうか
おっしゃっていただいたように記憶でのスキルも重要なポイントです。記憶が関わる部分と、実際に手を動かす部分では、それぞれスキル向上させるために必要な支援が違うと予想されるため、分けて支援を考えています。手や札の大きさを大きくする今回の研究は、実際に手を動かす部分に着目した解析と応用です。Ayaka Maruyama.icon(発表者)
ニコニコ動画みたいな文字列が流れてきたような…。shizuki.icon
気がして来ました!shizuki.icon
気がしてきた!matsumur.iconyuki_igarashi.icon
もうそうだとしか思えない。。。shizuki.icon
素人質問になるのですが、フィッツの法則はGUI上だけでなく物理空間上での運動(腕や指など)でも成立するのでしょうか?(そういった研究があって常識だったりするんでしょうか?)
matsumur.icon 記憶が定かではないですが、もともとのポールフィッツのやつはモータコントロールが題材だった気がします。つまり物理的な手の運動。論文はこれかな いくつかVR空間内での先行研究があるようです。(ただ、ざっと見た限り、VR空間内でのコントローラでのポインティングが多かったような)
なるほど、ありがとうございます!ということはスポーツ工学などへも応用されていたりするのかもしれないと思いました
ということは「手で札を取る動作は、Fittsの法則のモデルに高い適合度を示した。」の部分は、発見したということではなく、既存研究からそうなることが高い確度で予想されるところを確認した、という意味でしょうか
matsumur.icon マイクが若干割れてしまっているような... 聞き取りにくい感があります
こもっている感がありますね。。。話者がマスクをしていると余計にこもってしまうのでマスクは外した方が良いかもしれません(いまの発表は大丈夫です)
私は耳が遠いので聞き取りにくいです… 高音を強調していただけるとありがたいです。リアルタイムで字幕が出るとすごくありがたいのですが…。
マイクと口との距離がポイントのひとつの模様。手持ちすると近づいて音が割れる気が…。shizuki.icon
計算論的神経科学の実験でこういう距離と速度測るのみた気がするnishiyama.icon
Fittsの法則のW=手の幅+カルタの幅と定義したところが面白いなと感じました.shogo sekiguchi.icon
↑で似た質問が挙がってました.
単純に手をでかくして大雑把に強くなるだけじゃなくて、しのぶちゃんみたいに「カードの端」を正確に射抜いているという感覚を提示してほしいかも narumi.icon
「札が…この手を呼んでいるッ!!」みたいな触覚フィードバックも実現できそうnishiyama.icon
VRでやれるなら、「聞こえが良くなる」(ちょっと早く聞こえる)みたいな拡張もできそう narumi.icon
ゲーム性を保ったまま inclusive にするという方向と、トレーニングとしてスキル上達を支援していくという両方向ありそうですよね hiromu.icon
ハンデが持つ効果について elo rating などで数値化ができれば、プレイヤーとしての楽しさと勝負としての意味論を両立できたりすんだろうか
matsumur.iconこのScrapboxに論文へのリンクが欲しいですね。つけていくか...
とりあえず 上につけてみた。
この大学と企業との共同研究がどう始まったのかが気になりました
ご縁をたよって、津田塾大学側からfittsの法則の専門家の山中さんに相談した、というシンプルな編成ですqurihara.icon(第二著者)
未来ビジョンで支援として札のハイライトをしていましたが、これは取る札を探す、記憶するというかるたのゲームに干渉してしまいそうな気がしますhaya_shi.icon
我々はかるたに必要な行動を(1)札の記憶(2)札を探す(3)手を伸ばして触れる に分けてます。ある支援が(1)(2)(3)のどれを扱えるかは多様性があり、互いにオーバーラップがあります。ご指摘のようにハイライトする手法は(2)をカバーできますが(1)もカバーしする(してしまう?)強力な手法の一つです。ゲームに干渉する、というのはある種やむをえないことで、干渉の程度をコントロールして、なるべく共通の体験を対戦者と共有できるようにしつつ、白熱した対戦が行えるようにする、ということを目標にしていると理解しています。 qurihara.icon(第二著者)
ハイライトの支援の中で干渉の程度をコントロールする方法として、ハイライトによって絞られる候補の札の枚数の調整が考えられると思っています。ハイライトを動画で示した例は、ハイライトによって札の候補を1枚まで絞るものでしたが、札の候補を絞るのを途中でやめて、少ない候補から選ぶかるた、のようにもデザインできるかなと考えております。Ayaka Maruyama.icon(発表者)
逆に札に上の句を表示してしまうとか?
これは古典的にも「決まり字かるた」という形で印刷されて販売されている、上記で言えば(1)の支援をもっぱら行う手法です。我々は先行研究で、VRを用いて、その場の状況から「決まり字かるた」よりも速く札を特定できるヒントを表示する手法を提案しています qurihara.icon (第二著者)
このように試合の中で動的にヒントを表示できます!(はるすぎて ・・・の歌の例)Ayaka Maruyama.icon(発表者)https://scrapbox.io/files/6566d937a7366d002307e929.png
ゲーム研究では動的な難易度調整はわりとある研究テーマで、ユーザーインタビューをした研究などもありますね。 seiki.icon
あとでハンデがついてたことがバレたら,だまされた,ってならないのかなteradatsutomu.icon
ポジティブではない感想があるという研究もあります。特に高スキルユーザ群にネガティブが出やすい(当然ですが) seiki.icon
なんか,低スキル群のひとも,実力で勝った!と思ったのに実はハンデでしたーってあとで言われるとがっかり,みたいなteradatsutomu.icon
実力差があるとわかっている人たちが一緒に楽しむという合意があればいい気がします matsumur.icon
ハンデの度合いをプレイヤー達にはっきりと伝えてしまっても良い(ゲームとして楽しめる)かと思いました
百人一首は経験者は1秒くらいで札をとり、未経験者は(上の句を記憶していないので)8秒くらいで札を取ることになる、のように、極めてスキル差が顕著に出る競技です。このくらいになると、上級者のほうは「せめて私が思う面白い領域(1秒とかそういうレベルで)たのしみたい」と思うようです(第二著者が第一著者を見て感じることですが。)。そういう状況なら、「まあこのくらいの支援を受けてもいいよね」と、上級者も思いやすいのではないかと想像します。もちろん、ハンデがあることを知っている知らない、自分が気づいている気づいていない、ということをどう扱っていくかは私達の中心的課題の一つですので、今後詳しく調べていきたいと思っています qurihara.icon (第二著者)
百人一首、データセットが高々100個とコンパクトで色々と対象にしやすい題材なんですよねnishiyama.icon
身体的に手の長さがハンデにもなってくる(例えば子供と大人で同じ条件で試合をしたいとか)なら,Dに手の長さ倍率を掛けてみるとよかったりするんですかね
読まれた札を自分の方に移動させたりすると,選択しやすくなるのかなと思ったのですが,どうでしょうか?Yusuke Ashizawa.icon
レベルに合わせて,移動させる速度を変えたり,ユーザが事前に指定した領域に持っていくとか?
今回はフォーカスしませんでしたが、fittsの法則でコントロールできるのは、札サイズ、手のサイズと、札までの距離です。ご指摘いただいたのは動的に距離をコントロールことですが、そこまではっきりした支援ではなくても、気にならない程度に札までの距離を制御することは可能だと思います。たとえばランダムに読み札を選ぶとき、支援したいプレイヤに近い札が多く読まれるようにするとか、そもそもプレイヤの座る位置が通常よりも札群に近いように調整するとか。qurihara.icon(第二著者)
手から見て奥方向の札なのか横方向の札なのかで取るのにかかる時間が変わりそうな気もするので,自分の手の位置から札への角度をモデルに組み込んでもいい気がしますね.
3次元空間、かつVRでのポインティングタスクならではの問題提起で、とても面白そうです👍 2次元のポインティングタスクにおけるfittsの法則の適用でも、水平方向と垂直方向で速度が異なる、のような知見があるのでしょうかね?もしあれば勉強してみたいです。qurihara.icon (第二著者)
競技かるたの様々な取り方(奥方向に動かす「突き手」や札を横に払う「払い手」など))にも関連がありそうで、興味深いです!Ayaka Maruyama.icon(発表者)
読み始めのタイミングはイヤフォン,札のピックアップはARでも行える一方,手と札のサイズや距離を変えるというのはVRでしかできない特有のものだと思った.
短期的な対戦試合の面白さという観点と、長期的にプレイのスキルを伸ばすモチベーションにどう影響するかという観点と、色々考えられそうですね。 seiki.icon
遊ぶ人より上手いと思いっきり遊べなくなるし、下手だとやりたくなくなるし、を解決するいい方法だと思いました! 将棋に適用したらいつか藤井壮太と互角に戦える日が……! など、夢の広がる研究だなと思いました。
百人一首では札をほぼ覚えている上級者と初心者では(そもそも札を確定できるタイミングが違いすぎるので)越えられない壁がありそうに思うので、このシステムでどのぐらいスキル調整できるのか興味があります。
ありがとうございます。和歌を再生するタイミングを変えることで、上級者と同じようなタイミングで札を取ることは可能です。とはいえ、大きくタイミングをずらすのも最高のスキルの調整ではないと思うので、他の支援をあわせて用いることで、タイミングによる調整を最小限にできればと考えています。たとえば、上級者が早く取るために使っている知識(和歌の上の句と下の句を覚える、「決まり字」(読まれている札が何であるのかを識別するのに必要な最低限の上の句)を動的に表示したりする支援によって、初心者でも初めの数文字で札を探し始めることができます。Ayaka Maruyama.icon(発表者)
「決まり字」の表示だけでも0.4秒程度の差にまで近づけることができます。これにあわせて、手の大きさや札の大きさを変える支援等を合わせて使っていこうと考えています。Ayaka Maruyama.icon(発表者)
https://scrapbox.io/files/6566ce34698aa20023c8c044.png
マイクに立っているのに座長が質問しだすというレアケースでしたね!!!𥱋瀨洋平.icon
matsumur.icon 座長の位置かマイクの位置が悪いのでは?
質疑に関連して
しのぶちゃん・・・ちはやふるの登場人物。かるたのクイーン(女性の日本一!)で正確で速い取りが特徴。Ayaka Maruyama.icon(発表者)
質疑応答:
【質問として読んで欲しい場合にはこちらに書いてください】
産総研 後藤先生
ハンデがあるということを意識しないようにできるデザインだが、ハンデがあるとわかるほうがよい or わからないほうがよいというような知見は存在する?
ハンデがあると認識できているか否かで評価ができるかも?
Unity 簗瀬さん
ハンデの時間差はどういう根拠でつける?
正確にやるには、個人の札とりのデータをとってfittsの法則の回帰直線を得ることで行える(キャリブレーションに相当)。