青いドロップは海の風
ぼくは、ドロップのかんをさし出して、かまわずに、こう言った。
「どれがいい?
青
いのと
黄色
いのと、
オレンジ
のと、
白
いのと」
女の子は、しばらくじっとぼくの顔をながめてから、ほそい指で、青い
ドロップ
をつまんで、口に入れた。ぼくも、まねをして、青いのをつまんで口に入れた。
「青いのは、
星
のかけらだって」
こんなことを、少しも、照れずに言えたのは、相手に、自分の声が聞こえないと、わかっていたためだろうか。青いドロップは、甘ずっぱくて、
海の風
がひとすじ、
のど
を通りぬけていくようだった。
甘酸っぱい
甘い
星のかけら
海
風
『夏の夢』