雪原に赤いリンゴ一つ
「ほんとかしら。星が、おりて来るなんて、りんごをひろって食べるなんて、そんな事があるのかしら」
少年は、
そっと
うなずいて、ポケットからナイフを取り出して、りんごをむきはじめました。りんごの皮は、長く長く伸びて、
雪
の上に届きました。
りんごは、きゃらきゃら笑いました。
「おかしいかい?」
「おかしいわ。星がりんごをむくなんて」
星
の少年は、むきたての
りんご
を、
ゆっくり
と食べました。
心をこめて
、しんまで、きれいに食べました。
最後に、黒い種が、五つぶ残りました。
『ある雪の夜の話』