リスクコミュニケーション
主に為政者や企業と市民との間でのリスク容認に対する合意を求めるもの。
何らかの危険性、有害性が懸念されるものに対して、その危険度、有害度が許容範囲であること、また、その危険度、有害度を下げるための施策をどう取るかを合意すること。
問題
市民には十分な知識がなく、正誤、十分不十分を判断する能力が乏しい。
為政者、企業、専門家は「市民は馬鹿である」と思い、杜撰な扱いをしてしまう。
為政者、企業、専門家はごくわずかに発生している被害を無視してしまう。
為政者、企業、専門家は「市民にトラブルを説明するとパニックに陥る」と思い込んでいる。
専門家であっても、分野によってはほとんど無知になる。
知識の理解は権威主義になりがちである。
「あの専門家が言っているから正しいに違いない。」
「教科書に書いてあるから正しいに違いない。」
市民は「為政者、企業、専門家は自分たちを馬鹿にしている。嘘を吐いて儲けようとしている。」と捉えてしまう。
危険性、有害性を過大評価、あるいは過小評価する言論がはびこっている。
リスクの値踏みがとても難しい。
ポジショントークになりがちである。
危険性、有害性のあることをしたい側はそれを過小評価したくなる。
危険性、有害性のあることをされる側はそれを過大評価したくなる。
認知バイアスの問題
確証バイアス
自分は正しいと思い、他人の説明を受け入れない。
正常性バイアス
そんな異常なことは起こるはずがない。起こったとしてもたいしたことがない。いつもと変わらない。と思い込んでしまう。
マスコミの問題
マスコミはセンセーショナルな報道に偏りがち
マスコミの記事を書いている人が公平公正でないことが多い。
デマの問題
商売のためにデマを流す人たちがいる。(自分が儲かればよい)
イデオロギーに染まってデマを流す人たちがいる。(嘘でも自分たちのイデオロギーに合致すればよい)
虚栄心などのためにデマを流す人たちがいる。(目立ちたい、デマを真に受ける人を見て笑いたいなど)
デマを真に受けて、それを垂れ流す人がいる。(本人は善意のつもり)
エコーチャンバーの問題
自分が信じることを肯定する集団の中にいて、それが正しいとますます信じ込まされる。
事故を隠したり過小評価しようとしてしまう問題
問題のある情報を隠そうとする問題
そもそもそんな物はなかったかのように振る舞う
情報を記録しないことで、存在しないことにしてしまう。
情報を公開しても全部黒塗りにしてしまう。
過激な行動に出てくる人がいる問題
テロリズムなどの破壊的な行動
道路の往来を妨害するなどの行動
大量の電話などの嫌がらせ
イデオロギーに固執する人がいる
いかなる説明を受けても見解を変えないため、どうにもならない。
統計などの解釈問題
統計での仮説「Aである」の否定は「Aであるとはほぼ言えない」なのだが「Aではない」と解釈される。
信頼関係をどう結ぶか?
「十分な情報を提供している」という信頼
「少なくとも嘘を吐いていない」という信頼
「市民の立場(不利益)を十分理解してもらえている」という信頼
リスクの大小をどうやって見積もるか?
正しい知識をどうやって身につけるか?
難しい仕組みをどうやって理解してもらうか?
過激な行動をどうやって控えてもらうか?
実際に起きている問題
原発関連
原発事故が起こったため、リスクが過大に評価されるようになってしまった。
自然エネルギー
その能力について過大評価されがち。特に原発事故以降、「原発不要論」のための自然エネルギー活用論が盛んに言われるようになってきている。
「自然エネルギーは不安定」「安定的なベース電源が必要」という基本的な話が通じない。
原発の再稼働問題
科学的には稼働に問題がない原発が止められてしまっている。
活断層が下にある「かもしれない」ので動かしてはならない、みたいになっている。
実際に起きた原発事故は津波によって引き起こされていて、活断層は関係ない。
「電気代の高騰」という形で市民は大きな損害を被っているが、その意識がない。(漠然と「電気事業者が悪い」と思い込んでいるため)
原発事故後の食料生産に関わる問題
「放射線に汚染された食料」というイメージで捉えられてしまっていた。
処理水と汚染水
原発事故後、湧き出してくる水の始末が必要で、処理を行いトリチウムのみ残っているほぼ無害の水に対して「汚染水」と呼び続けて忌避するようなことが起こっていた。
処理水の放出で一時的に非難されていたが、その後は特に問題視されなくなった。
ただし今だに一部の国から水産物の輸出の受け入れが止められていることがある。
ワクチンの接種問題
「ワクチンを打つと被害を受ける」というデマが大量に流されている。
ワクチンの被害はごくわずかに起きているはずだが、「ワクチンは安全である」という思い込み・イデオロギーにより無視されてしまう。(詐病や心の病として解釈されてしまう。)
マスクの着用問題
マスク無効論が垂れ流されている。
もう感染のリスクはなくなったかのような表現をされ、マスクを取るのが正しいかのような言説が流されている。
検査の有効性の問題
COVID-19では、PCR検査無効説あるいは有害説が垂れ流されてしまった。
PCR検査の感度と特異度を、他の検査の感度と特異度と同等のように説明し、ベイズ推論から偽陽性の大量発生があるために検査は有害という結論に導いてしまった。
防衛問題
他国から侵害される可能性の過小評価、あるいは過大評価
どこまでを防衛と見なせば良いのかという困難性。
防衛に使う装備は攻撃にも使えてしまうという問題
食品関連
食品添加物のリスク問題
BSE問題
センセーショナルな報道のために、不要なまでの対策が取られ、その対策
薬害問題
薬には副作用がある。
環境問題