安房直子さんの物語の類型
安房直子さんの物語は、ハッピーエンドだけでは終わらない。
全体としては美しく、楽しいのだが、ときに切なく、悲しく、そして怖ろしさを感じさせる。
美しさへの憧れ、輝くものへの憧れ、不思議なものの楽しさなどのなかに、嫉妬や思い上がり、高慢、人間以外のものの不可解さ、切なさ、憎しみ、愛憎半ばする感情など、児童文学にはおさまりきらない感情が描かれる。
類型を検討してみることで、物語の魅力の一端でも図り知ることができたら、と思って。
2020.09.06. 日向夏