音源の著作権周りを理解しようとした
#法的アドバイスではない
概要
ボカロ楽曲を扱うなど 音源を使用するとき、必要な行動を知りたい
原曲を使う or カラオケ音源を使う
焦点
〝どこの音源を〟使うかによって変わる
難しいことを言えば、入手音源が レコード会社 を通っているかどうかで変わってくる
前提
YouTube
原盤権が許諾されていない
ニコニコ
一部原盤権が許諾されている
権利
著作権
曲作った人が持っている
個人で著作権を管理・行使するのが面倒なため、著作権管理はだいたい JASRAC などに委託されている
JASRACに許可を取る必要がある
注意:曲によってはJASRACに〝一部〟権利を委託という形にしている場合もある
委託されていない部分は本人に許可を取る必要がある
著作権侵害は 一部を除いて 親告罪であるため、権利者の申告が必要である
著作隣接権
https://isum.or.jp/copyright/
https://isum.or.jp/copyright/images/illust02.jpg
画像:「著作権と著作隣接権」by「一般社団法人 音楽特定利用促進機構」(ISUM)
レコード会社や演者に対して存在する
著作隣接権 -> 原盤権
https://www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/chosakuken/index/genbanken/
レコード会社(CD作ってるサウンドエンジニア)側には MIXやマスタリング などの費用がかかっている
その人たちの権利を保護するために存在している
私的利用のための複製
個人で楽しむ分には複製してもおk
CDの音源をPCに取り込んで(複製)、スマホにコピー(複製)するのはおk
複製を業者が主体として行う・業者が依頼する・業者がサービスとして提供する場合は、これに当てはまらない
推論
CD音源をクラウドに保存してもいいか
原盤権の「送信可能化権」には、権利者以外による「インタラクティブ送信」(自動公衆送信とも言う)が禁止されている
インタラクティブ送信:インターネット上で公衆からの求めに応じて自動的に送信すること
しかし、個人のクラウドに保存・送受信するのは、共有さえしなければ自分自身しかアクセスできない(〝公衆からの求め〟に該当しない)、複製行為の主体が個人(ユーザー)であるため、私的利用として認められると考えられる(送信可能化権の専有を侵害しない)
例えば、MYUTA事件 では、(業者・サービスがなければ複製できず)複製行為の主体が業者と判断されたために、業者側の控訴が棄却された(NGであった)
お店でCD音源を流してもいいか
権利者(JASRACなど)に申請すればよいが、原盤権としてレコード会社にも申請する必要がある
店舗BGM系サービスを使うとおそらく楽 くわしく
高校や大学の文化祭の教室展示などで流してもいいか
https://www.jasrac.or.jp/park/inschool/cultural.html
https://www.jasrac.or.jp/users/education/
文化祭は授業の範囲内だと見られる可能性が高く、「複製」が行える
この場合は「複製」に限っているので、何をしてもよいわけではない
校内放送/ファンメイドライブ/文化祭ライブ は下の補足「営利を目的としない上演・演奏・上映・口述等」を参照
YouTubeで使ってもいいか
市販で売られているCDの音源[1]
レコード会社を通しているため、原盤権が存在する
レコード会社に許可を取らなければならない(YouTubeは原盤権許諾がない)
個人・同人で買ったCDの音源(レコード会社を通していない)[2]
マスタリングは著作者が行っていて、レコード会社を通していない場合、著作隣接権を考えなくてよい可能性が高い
申請せずに使用できる(YouTubeはJASRAC等と提携している)
ピアプロやGoogleドライブなどで、個人が配布しているもの[3]
申請せずに使用できる(YouTubeはJASRAC等と提携している)
ニコニコで使ってもいいか
基本的にはYouTubeと同じ(YouTubeの[1][2][3])
音楽著作物及び音楽原盤の利用に関するガイドライン
上記の「3. 音楽原盤利用について」に記載されている範囲内であれば、市販で売られているCD音源([1])でもレコード会社へ申請せずに使用できる 許諾楽曲検索
SoundCloudにアップロードしてもいいか
SoundCloudはJASRACなどと提携していない
市販で売られているCDの音源の場合
権利者(JASRACなど)と、(原盤権として)レコード会社にも申請する必要がある
個人・同人で買ったCDの音源(レコード会社を通していない)
権利者(JASRACなど)に申請すれば使用できる
ピアプロやGoogleドライブなどで、個人が配布しているもの
権利者(JASRACなど)に申請すれば使用できる
補足
著作権・著作隣接権は「親告罪」である
一部を除いて、著作権・著作隣接権は 権利者が告訴しなければ 罪に問われない
「被害が軽微で、被害者の意思を無視してまでも訴追する必要性がない」 範囲であれば親告罪とされる
ファンが二次創作する行為は ほぼ被害がないと考えられる(むしろ広める行為であり原作者にとっても利益になる)ため、こちらに当てはまると考えられる → 黙認という形にされていることが多い
親告罪を権利者以外の他人が指摘するのは誤りである
逆に、被害が重大であれば 非親告罪 となっている 日本の著作権法における非親告罪化
海賊版を作る行為や、FANBOXなどの有料記事を無断転載する行為はこちらに当てはまると考えられる
この場合、権利者の訴えによらず犯罪となる
「営利を目的としない上演・演奏・上映・口述等」は著作権が制限される(著作物を自由に使える)
著作権が制限される場合 がある
公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。
以下を満たせば、著作物を自由に使うことができる
すでに公表された著作物であること
非営利であること
観客から料金を受け取らないこと
ライブする側 ↔️ 観客側 で金銭のやりとりがなければよいので、ライブの外での物販とは関係しないと見られる
演者に報酬を支払わないこと
上演・演奏・上映・口述のいずれかであること
上演:演奏や歌唱以外の方法で著作物を演ずる
演奏:音楽を奏すること(歌唱を含む)
上映:著作物(公衆送信されるものを除く)をスクリーン等に投影する(それに合わせて音源を流す場合も含む)
口述:朗読など口頭で伝達すること
「上演」、「演奏」又は「口述」には、著作物の上演、演奏又は口述で録音され、又は録画されたものを再生すること(公衆送信又は上映に該当するものを除く。)及び著作物の上演、演奏又は口述を電気通信設備を用いて伝達すること(公衆送信に該当するものを除く。)を含むものとする。
#雑談