夜は短し歩けよ乙女を読んで
おともだちパンチ
東堂さん、夜の街、宴会に紛れ込む
偽電気ブランを初めて口にした時の感動をいかに表すべきでしょう。偽電気ブランは甘くもなく辛くもありません。想像していたような、下の上に稲妻が走るようなものでもありません。それはただ芳醇な香りをもった無味の飲み物というべきものです。本来、味と香りは根を同じくするものかと思っておりましたが、このお酒に限ってはそうではないのです。口に含むたびに花が咲き、それは何ら余計な味を残さずにお腹の中へ滑ってゆき、小さな温かみに変わります。それが実に可愛らしく、まるでお腹の中が花畑になっていくようなのです。飲んでいるうちにお腹の底から幸せになってくるのです。飲み比べをしているというのに、私と李白さんがにこにこ笑いながら飲んでいたのは、そういうわけであるのです。
ああ、いいなあ、いいなあ。こんなふうにずうっと飲んでいたいなあ。
私はそうやって偽電気ブランを楽しく頂きました。やがて周りの人々のざわめきは遠のいて、まるで静かな部屋の中で私と李白さんだけがお酒を酌み交わしているような不思議な心持ちになりました。。大げさに大げさに言うのを許していただければ、にせでんきぶらんはまるで私の人生をそこの方から温めてくれるような味であったのです。
一杯。一杯。一杯。
時が経つのも忘れて飲み耽るうち、言葉を交わしてもいないのに、李白さんが自分の祖父であるかのような安心が湧いてきました。そうして言葉をだあさずとも、李白さんが喋りかけてくれているような気がしたのです。
「ただ生きているだけでよろしい」
李白さんはそんなことを言ったように思われました。
「おいしく酒を飲めばよろしい。一杯一杯又一杯。」
「李白さんはお幸せですか」
「無論」
「それは大変嬉しいことです」
李白さんは莞爾と笑い、小さく一言囁きました。
「夜は短し、歩けよ乙女」
偽電気ブランをお腹に入れながら、私は無性に楽しくてなりませんでした。美味しうございました。いくらでも飲めるのです。
そして、私はこの勝負が永遠に終わらなければ良いのにと願ったのですが、気づくと目の前の李白さんが動きを止めておられました。テーブルの上に置かれたコップには、皺だらけの手のひらがかぶさってました。
「儂はもう飲むことができない」
李白さんはそう仰いました。「ねえ君、これぐらいにしておきなさい。」
ふいに現実のざわめきが私の周りに戻ってきました。
宴会の輪がぐっと小さく縮まって、私と李白翁を取り囲んでいました。社長さんが私の肩を叩き、樋口さんが懐手して笑います。そうして肝心の東堂さんは、絨毯に座り込んで藁半紙を丸めたような顔をしておりました。
本は全て繋がっている、、、
らタムタム
p129.それは既に深い紺色で、かすかな夕焼けの名残が、浮かぶ雲をほのかな桃色に染めています。
みんなまるで海の底のお魚のようですね
北から涼しい夕風が吹いてきて、目の前を小さな七色の吹き流しが滑るように飛んでいきました。 パンツ総番長
ご都合主義者かく語りき
だるま
風の神様に嫌われているのです
こうして出会ったのも何かの御縁
京都の地名が散りばめられているのがいいですね
そういう場所なのかも、ってなるなあそういう空間だなあ、京都っていうのは、色々と思い出す
20歳のお酒はここで…