サンジャコモの計画
所収:『ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件』(岩波書店)
「人生においては偶然に起こることなど何ひとつありません」
裏表紙のあらすじでネタバラシしているので注意。
収録作中でもたぶんいちばん長く、構成も複雑で、力が入っているらしい一篇。引用した台詞そのままに、理屈でないはずのものを理屈づけようとする真相はチェスタトンなら「狂人」と表現するだろう。
歪んだ親子の物語だが、結末まで読むと、「犯人」の思惑をも超えるその「親子」が印象深い。それは、どうであれ、そのような人生だった。