not for me
「私向けではない」「私の好みではなかった」といった意味で使われる、英語由来のフレーズ。
これはボードゲーム界隈に固有の表現というわけでなく、映画、音楽、書籍、ファッション、コスメ、食品といった、個人の主観的な好みが評価の大きな部分を占める、あらゆる趣味・嗜好の分野で、国際的に広く使われています。
コミュニケーション上の機能
客観的評価を回避する。
「このゲームはつまらない(客観的な価値判断)」と言い切るのではなく、「私にとっては、面白くなかった(主観的な好みの表明)」という形で表現されます。
対立を避ける、あるいは予防する。
そのゲームを高く評価している他者の意見を尊重しつつ、自身の否定的な評価を表明することができるため、不毛な価値観の対立回避を望めます。
コミュニティ調和の方針を示す。
個人の主観的な好みを尊重する姿勢を示すことで、コミュニティ内の過度な論争を防ぎ、また、誰もが好みを表明してよい空気感を醸成します。
あえて批判的にこの語を説明するとしたら?
「not for me」というフレーズは、思考停止の記号となるかもしれません。
なぜ「not for me」なのか? という理由を分析し、他者に伝えるための言葉を探る努力や過程を放棄することにつながりかねません。
多用されることで、本来持っていたニュアンスが失われ、内容のない空虚な批判として機能不全に陥る可能性もあります。
「『not for me』という言い回しが、『not for me』です」という表現も出てくるかもしれません。なんだかポスト構造主義っぽいですね。