Web2.0
2000年代半ば頃から広まった、インターネットの新しい利用法やビジネスモデルを指すバズワード(流行語)。
技術的な規格の名称ではなく、ウェブのあり方に関する一つの思想的な潮流を示す言葉です。
思想的源流は西海岸のカウンターカルチャー
Web2.0の根底にある個人主義や自律分散協調といった思想がある。
この思想は、1960年代から70年代にかけての、アメリカ西海岸におけるカウンターカルチャーにその源流を見出すことができる。
ベトナム反戦運動やヒッピー・ムーブメントは、中央集権的な国家や大企業といった既存の権威への不信を表明しました。
スチュアート・ブランドが創刊した『ホール・アース・カタログ』は、「自らの手でツールを使いこなし、世界を理解する」ための知見を共有するメディアであり、後のインターネット文化に決定的な影響を与えました。
このカウンターカルチャーの精神は、Appleに代表される初期のパーソナルコンピュータ革命へと受け継がれます。
コンピュータは、IBMのような大企業が独占する巨大計算機ではなく、個人を権力から解放するための「知の自転車 Bicycle for the Mind」であるべきだと考えられました。
Web1.0は、情報の流れが一方向的。
1990年代~2000年代初頭
一部のウェブマスターや企業が作ったウェブサイトの情報を、大勢のユーザーが閲覧・消費するのが主な利用形態でした。
コンテンツの作り手と受け手が、明確に分離していたということ。
Web2.0では、情報の流れが双方向的・多方向的に。
2000年代半ば~
ユーザーは、単なる情報の受け手ではなく、コンテンツの作り手・発信者となる。
ブログ、SNS(mixi、Facebook、Twitterなど)、Wikipedia、YouTubeといった、UGC(User Generated Content)プラットフォームが主役となった。
日本では、梅田望夫(2006)『ウェブ進化論』のヒットによって知られた側面も大きそうです。
この「誰もが発信者になれる」という思想は、かつてのカウンターカルチャーが夢見た、中央集権的な権威からの個人の解放という理念が、インターネット上で実現したものと見なされました。
なお日本においては事情が少し異なっていて、アメリカ西海岸思想の実現というよりも、雑誌のように流行の最先端発信空間に、パソコン通信的コミュニケーションの文脈が合流した独特な状況をつくっていました。
余談ですが、その後、「インターネット」というものの商業性が強まるにつれ、遵法意識が徐々に強まっていき、3.11を機に、現実が一気にインターネット空間に流れ込み、自粛警察やデマ拡散などの側面が前景化、ポスト・トゥルース的な状況をつくっていくことになります。
Web2.0を特徴づけるキーワード
参加 participation
誰もが情報発信に参加できる。専門家と素人の境界が曖昧になる。
集合知 collective intelligence
多数のユーザーの知識や評価が集まることで、個人の専門家を超える、より優れた知性が生まれるという思想。
例えば、WikipediaやAmazonのレビュー内容など。
ロングテール long tail
ニッチで多様な無数のコンテンツが、巨大な市場を形成する。
ソーシャル
人と人との「つながり」そのものが、プラットフォームの価値となる。