比較・最上級表現の法則
【比較対象は意味の上でも文法的にも同レベルのものでなければならない】
X:The population of Tokyo is eight times as large as our hometown.
主語は「人口」だが、as節の主語は「故郷」となっており、レベルの違う単語なので、比較対象にはなり得ない。人口はあくまでも人口と比べなければならない。
O:The population of Tokyo is eight times as large as that of our hometown.
比較や対照を表す構文中で使う代名詞は、単数ならthat、複数ならthoseである。
比較対象が副詞句同士ならば、文法的にも形を揃えなければならない。
In Tokyo prices are higher than (they are) in our hometown.
as/than以下が代名詞の主語+be動詞+副詞句(節)であれば、代名詞の主語+be動詞の部分は省略できる。
【比較級の強調語】
比較級の強調語muchとevenの違い
比較級の強調語は6つある:much/ far/ a lot/ a great deal/ even/ still
両者の間の差が相当に開くことを意味する→much/ far/ a lot/ a great deal「AとBは大差」
Robert is much taller than Simon.
ロバートの身長が180cmとすれば、サイモンは150mgくらいかもしれない
強調語muchは、可像名詞ならmany、不可像名詞ならmuchにする
than以下のものもかなりの程度であることを記す→even/ still「Aもかなりのものだが、Bはもっとすごい」
Robert is even taller than Simon.
サイモンも世間的な評価からすればかなり背が高い(例えば180cm)が、ロバートに至っては、さらに一回り背が高いことを意味する(例えば190cm)
【few, little】
「少ない」という日本語からfewerが浮かぶだろうか?
「少ない」=「〜ほど...ない」=not as ... as 〜
fewとlittleは数学で習う「lim(x→0)」の発想である。
つまり、「0に収束する→0に近づく」と言う意味
I have little moneyは「ゼロに近い金を持っている」「ゼロに収束する金を持っている」
使い分け:fewは可像名詞、littleは不可像名詞に付く
比較級:few→fewer、little→less
【as ~ as】
asとasの間に挟める語は形容詞か副詞だけ
as ~ asの間に名詞を入れたいときは、manyかmuchの助けが必要
可像名詞ならmany
不可像名詞ならmuch
as ~ asの間は一語だけとは限らない。
as ~ asで挟まれた形容詞・副詞は本来の意味を失うことがある
Jessica is as intelligent as a monkey.:本来の「知的な」という意味とは全く逆の「頭が悪い」という意味になる。
as old as→oldに年寄りのという意味は無くなって、中立的に「〜と同い年だ」という意味になる。
【比較構文のasやthanは原則は接続詞】
asやthanは原則は接続詞であるので、通常は後ろはSVが続かなければならない。
しかし、as/than以下の主語が代名詞以外の時は動詞or助動詞は省略されることがある。
than以下が副詞句になる場合
Nowhere in the world are land prices higher than in Tokyo.
比較対象は、文法的にも同一レベルのものでなければならないという原則
nowhereのような否定語が文頭につくと、疑問文と同じ語順で倒置が起こる
【asやthan以下は明らかなことを述べる】
Jessica is as intelligent as a monkey.:「猿」は人間よりも知性が劣るのが周知の事実、明らかなことである。そこから逆算してintelligentの意味を解釈するのである
My boss loved me as much as Churchill loved Hitler.:チャーチルとヒトラーは第二次世界大戦の敵の大将同士の関係であり、犬猿の仲であったのは有名な歴史の事実である。よって、「チャーチルがヒトラーのことを大っ嫌いだったように、私も上司に嫌われていた」
明白なことを述べる以上、場合によっては明白すぎて書かないという事態が発生する
as/thanが省略されるパターン
前の文のas/than以下と同じ場合
Nothing is more precious than time, but nothing is more irritating (than time)
thisとの比較→この場合はcould「〜できよう」と使う場合が多い
Nothing could be more absurd (than this)
Nothing could be farther from the truth (than this)
今との比較
I have never been happier (than I am now).
Never before have so many people been so well off (as they are now)
現実と仮想の比較→仮定法を使う場合が多い
How was your summer vacation?→It couldn'thave been better (than it was)
直訳「実際の夏休みほど良い夏休みは仮想の世界でもあり得なかっただろう」
英語では、「目の前で行われているもの」や「今の状態」などは初めから明白なものの範疇に入ってしまう。
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【最上級構文には「全体集合」を明示する語句が必要である】
最上級を使う以上は、in以下やof以下の部分が不可欠の要素となる。
inを使うのはclassのような全体集合を表すような語句がくる:Sam is the tallest in the class.:Samとclassはレベルの違う語である。
ofを使う場合は主語とofの次が〈同一範疇〉の語句になる時である。Sam is the tallest of all students.:SamとStudentは同レベルの語である。
「全体集合」は場所や組織的なものばかりとは限らない。
「史上で」のように時間的なものもあり得る
Shakespeare was the greatest playwright in history.
Shakespeare was the greatest playwright ever.
Shakespeare was the greatest playwright that the world has ever seen.
Shakespeare was the greatest playwright that the world has ever produced.
everは通常は疑問文で使う語であり、肯定文で使うことは不可とされているが、最上級と一緒に用いる時は例外として肯定文中でも使える
最上級の次の全体集合は、関係代名詞節で示されることもある。
【最上級とthe】
最上級にtheがついているのではなく、最上級の次の名詞(省略されている場合もあるが)にtheが付いているのである
theは〈唯一〉を表すのであった。「一番〜」なものは〈唯一〉に決まる
他のものと比較するときには最上級のtheがつき、同一(人)物の中で比べるときには最上級のtheが付かない。
This lake is the deepest in Japan.「この湖は日本で一番深い」→他の湖との比較
theは本来名詞につくという説明に立てば、この文のtheはdeepestの次に省略されている名詞のlakeに付いているのである。主語にlakeと書いてあるから、同じ語の繰り返しを避ける英語では2回目のlakeは省略されるのが普通である。
This lake is deepest at this point.「この湖はこの地点が一番深い」→同一の湖内での比較
この文はdeepestの次にはlakeの省略は考えられない。つまり、後ろに名詞がないからtheがいらないのである。ただそれだけのこと。
【副詞の最上級】
アメリカ英語では、副詞の最上級もtheをつける場合が多い。
Peter runs (the) fastest of all.
これもfastestの次にpersonの省略を連想するからだろう。
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【最上級⇄原級・比較級】
「時ほど貴重なものはない」
Time is the most precious thing of all.
Nothing is as precious as time.
Nothing is more precious than time.
Time is as precious as anything else.
Time is more precious than anything else.
「富士山は日本で一番高い山だ」
Mt. Fuji is the highest mountain in Japan.
No other mountain in Japan is as high as Mt. Fuji.
No other mountain i Japan is higher than Mt. Fuji.
Mt. Fuji is as high as any (other) mountain in japan.
Mt. Fuji is higher than any (other) mountain in Japan.
otherの次の名詞は単数形にすることに注意。otherの次はother citiesのように複数形にするのが普通だが、比較構文においては単数形にする
英語の比較は1:1対応が基本。トーナメント形式で1つ1つ勝負していく感じである。
日本語の「〜ほど...なものはない」は必ずしも英語のNothing is 比較級 thanなどの表現とは一致しない。
「間違って知らない人に挨拶してしまった時ほど、決まりの悪い思いをすることはありません」
X:Nothing is more embarrassing than to say hello to a stranger.→「この世で一番恥ずかしいのは知らない人に挨拶をしてしまった時だ」は言い過ぎである。世の中に恥ずかしいことは他にもたくさんあるはずだ。
O:I feel really embarrassed when I say hello to a stranger by mistake.
【最上級相当表現】