旧情報と新情報
【情報構造】
情報を旧情報と新情報の2種類に分け、文章における情報は旧→新へと流れていくとする考え方
旧情報:聞き手も知っていると予想されること
新情報:聞き手は知らないと予想されること
話者としては、相手が知らないと思われる「新情報」を際立たせたい。
統計を取ると、一般には「旧情報」は文頭に現れ、「新情報」は文末に現れることが分かってきた。これは英語に限らず、日本語でもそうである。やはり、言いたいことを最後に回すのが人間の心理なのかもしれない。
【代名詞(旧情報)で文を終えるのは良くない】
代名詞とは、一度前に出てきた語を受ける役割を担っているので、一般には旧情報となる。
旧情報はなるべく文頭に置くのが情報構造の自然な流れなので、旧情報を文末に回すのはこの自然な流れに反するので、一般には避けたい。
代名詞=it/ that/ this
「SV〜. We usually live without realizing it」→Most of us don't realize ~として、realize部分を前文に繰り上げてしまうのが得策。
「私はそう思う」→△:I think so.:soが旧情報なので、soで終わるのは好ましくない。どうしてもこの部分を文末にするなら、This is what I think.と書くのが適切。Thisという旧情報を文頭にするなら問題ない。
【句動詞の語順】
「(水など)を止める」=turn A off
文法的にはturn off Aでもturn A offでも良いことになっているが、この2つは微妙に伝えたいことが異なる。
「止めるのはどのA?」という問いに対して返事するのなら、「A」を新情報として目立たせる必要があるのでturn off Aが望ましい。
一方、「止める」ことに重点をおきたいのであれば、turn A offの語順が好ましい。
やはり、文末の語に重点情報がくるのである。
Aが代名詞の場合は、turn off itとは言わず、turn it offの語順しか許されない。代名詞は旧情報と見做され、turn off itのように代名詞で文を終えることになってしまうからだ。
pick you upも同じ理屈
他動詞+副詞の句動詞がこの法則が成り立つ。覚えてしまった方が早い。
back ~ up/ carry ~ on/ hand ~ out/ lay ~ off/ make ~ up/turn ~ down/ bring ~ up/ carry ~ out/ hold ~ up/leave ~ out/ pick ~ out/ turn ~ off/call ~ off/ figure ~ out/ keep ~ up/ let ~ down/ pick ~ up/ turn ~ on/ call ~ up/ give ~ off/ lay ~ aside/ make ~ out/ put ~ off/ turn ~ up
【第4文型 or 第3文型か】
「先生が私に人形をくれました」
第4文型:My teacher gave me a doll.:a dollが新情報。「先生は君に何をくれたの?」への回答としてふさわしい
第3文型:My teacher gave a doll to me.:to meが新情報。「先生は人形を誰にあげたの?」への回答としてふさわしい
【節の語順】
When節は文頭にするのか文末にするのか問題。
When節が文頭のときはこれが旧情報で、主節が新情報:主節に焦点が当たるので、日本語は「〜したとき、〜した」
When節が文末のときはこれが新情報で、主節が旧情報:When節に焦点が当たるので、日本語も「〜したのは〜したときだ」と訳すのが正しい。
Becauseの注意点
becauseはふつう新情報を言及するときに用いる語である→because節が文末のほうが必然的に適切となる
△:Because SV, SV~
◯:SV because SV ~
【受動態の用法】
そもそも、受動態を使うのは、行為者が不明のとき!行為者がわかっているなら能動態で書く方が遥かに自然である。
受動態の文でbyが付くのは稀である。
行為者不明の時って?
事故の死傷者について言及する場合。事故によっては加害者が誰とははっきり言えないか、あるいは未成年だから報道できない場合がある。
byが付くのは、主語が旧情報で、by以下が新情報のとき
by以下が付くと、その部分が文末になるので、新情報となる。
すなわち、新情報として際立たせたい時にby以下を付加するのである
他にby以下が付くパターン
by以下の名詞に関係詞などの修飾語がつく場合:The window was broken by the burglars who broke into the house.
新情報とは、「相手が知らないと予想されること」なので、ひと言二言では相手は理解できないかもしれない。相手に理解させようと、付加情報を付け加えたりするので自ずと説明が長くなる。これが修飾語に当たる部分だ。
by以下に対比を暗示する場合:America was discovered by Amerigo Vespucci.(not by Columbus)
byの基本的意味は「対比」であることを思い出そう。
従節と主節の主語をなるべく揃えたい場合:If you hate others, you'll be hated by them in turn.
英語では従属節と主節の主語をなるべく揃えたいという心理が働く人もいるらしい。
この用法は頻度が高いわけではなく、自信がなければ無理やり使う必要はない。行為者がわかっているなら能動態で書くのがあくまでも本筋である。
【無生物主語構文】
大前提:無生物主語構文は、どちらかと言うと論文調の堅い文章体である。逆に言えば、口語体では殆ど使われることはない。口語体では、日本語と同じように、ふつうは人間を主語にする。大学の論文などではむしろ無生物主語構文が好まれることがある。格調の高い雰囲気を醸し出すからだろう。日本語学生が英語圏の大学に留学した場合、最初は会話もままならず英語ができないと思われがちだが、レポートを欠かされると、受験英語で鍛えた無生物主語構文などを使うので、むしろ教授から褒められ、地元学生から尊敬されるという逸話もある。
文章体:The advance in medicine have enable us to live longer.
口語体:Thanks to the advances in medical science, we can now live longer.
無生物主語として有名なフレーズ
S enable 人 to do〜/ S make it possible for 人 to do〜
S prevent(keep/ stop) 人 from doing〜
【抽象名詞】
大前提:抽象名詞は堅い文章体。日本語でもそうだが、英語でも抽象名詞は堅い文章帯である。論文調の英文ならこのままでも良いが、口語体として用いるには不適切である。
口語体は話し言葉でも書き言葉でも両方に使える。口語体は文章体を兼ねるが、文章帯は口語体を兼ねないということだ。よって、大学で英語の論文を書くのでもない限り、なるべく口語体の文を書く癖をつけておいたほうが汎用度も高いし応用が利く。
「重要性」という日本語からimportanceを、「量」「質」という日本語からquantity/ qualityという英語を連想する人は多いだろう。このような実態のない概念だけを表す名詞を抽象名詞と呼ぶ。
howのすすめ
抽象名詞をどのように口語体にするのか?→howで繋げられないかを考える。
基本的には抽象名詞で表現されている名詞の動詞系や形容詞系を考える。例えば:「読書の喜び」→「読書を楽しむ」「読書は楽しい」という日本語に置き換えて英訳する。the pleasure of readingではなく、enjoy readingやreading is interestingという発想にする。そして、文脈上これらの英文がそのまま使えたらそれで良い。
文と文をつなぐ際に多少加工が必要であれば、howで繋げられないかを考えてみよう。例えば:「読書がいかに楽しいかを実感する」→realize how interesting reading isのようにする。
勉強の重要性:how important it is to study
睡眠の量:how long you sleep
睡眠の質:how well you sleep
【仮主語】
itを仮主語として使いたい時ってどんな時?
英語では主語を長くすることは一般的に敬遠されるので、主語が長くなりそうなときは「仮主語のit」を用いる。そして、it isとひとまず言ってから、to 不定詞やthat節などで「真主語」を示す。
注意点:書いている本人は「仮主語のit」のつもりが、それを読んでいるネイティブスピーカーは「仮主語」とは解釈しないために誤訳となってしまうケースが多々ある。;it isの次を名詞にすると、往々にしてネイティブスピーカーはこのitを仮主語とはみなさず、前を受けるitだと思ってしまうらしい。
it is a custom to shake〜と書くと、英米人はitの解釈に少し戸惑う
it is customary to shake〜と書いてあげれば、一瞬でitを仮主語だと反応する。
大事な決まりごと:itを仮主語で使いたいなら、it isの次は名詞にせず、形容詞にしなければならない。
例外:it is no wonder that SV〜:これらは決り文句なので誤解の余地が少ない。
真主語をto不定詞にする?that節にする?
to不定詞:〈仮定的なこと〉〈これからやること〉
that節:〈確定的なこと〉〈現実的なこと〉〈前提とされていること〉
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