SNNN数のイデアル
SNNN数全体ではなく, その約数がなすイデアルを使った分類を検討する. イデアルは環論におけるそれではなく, 順序理論におけるもの. 準備: イデアルについて
イデアルの定義としては以下を採用する. 本定義はIdeal (order theory)の引き写しである. 採用の理由は他の定義, 例えば田中俊一. 2000. 位相と論理. 日本評論社. の§1.3 "イデアルとフィルター", 定義1.37の定義とこれが論理的に一致しており, self-containedな定義として扱いやすかったためである. Definition (formal).
$ (P, \leq)を半順序集合とし, $ I\subseteq Pとする. 以下をすべてみたすとき, $ Iをイデアルという.
1. $ I\ne \emptyset
2. $ \forall x\in I. $ \forall y\in P. $ y\leq x\implies y\in I.
3. $ \forall x, y\in I. $ \exists z\in I. $ x\leq z\land y\leq z.
最も単純なイデアルとして, 環論における単項イデアルに相当するイデアルを定義する.
Prop. 1 (formal).
$ (P, \leq)を半順序集合とし, $ a\in Pとする. $ \mathord{\downarrow}(a) := \lbrace\,x\mid x\in P.\ x\leq a.\,\rbraceはイデアル.
Proof.
$ a\in \mathord{\downarrow}(a)より(1.)はよい. 定義より(2.)も明白. $ \forall x, y\in \mathord{\downarrow}(a). $ x\leq a\land y\leq a. より(3.)も成立. $ \Box
Definition (informal).
Prop. 1における$ \mathord{\downarrow}(a)を$ aの生成する主イデアルという.
SNNN数のなすイデアル
Definition (informal)
SNNN数に対する整除関係の記号$ a\mid bについて, その逆順序を$ \preceqとする.
Definition (formal)
$ \forall a, b\in\mathbb{S}. $ b\preceq a :\Longleftrightarrow a\mid b.
$ \preceqが半順序であることは整除関係の半順序性から従う. 直感的には「より番号の大きい方が小さい」と思ってよい.
Definition (formal)
$ (\mathbb{S}, \preceq)を上に定義した半順序集合, $ a\in \mathbb{S}とする. $ I(a) := \mathord{\downarrow}(a)を$ aのイデアルという.
Prop. 2 (formal).
1. $ \forall a, b\in\mathbb{S}. $ a\mid b \iff I(a)\supseteq I(b).
2. $ \forall a, b, c\in\mathbb{S}. $ a\mid c\land b\mid c\iff I(a)\cap I(b) \supseteq I(c).
Proof.
1.
$ \implies: $ \forall x\in I(b). $ x\preceq b\iff b\mid x. $ a\mid bより$ a\mid xであり$ x\in I(a).
$ \Longleftarrow: $ \forall x\in I(b). $ x\preceq aより$ a\mid x. 特に$ x = bのとき$ a\mid b.
2. (1.)より$ I(a)\cap I(b)\supseteq I(c)\iff I(a)\supseteq I(c)\land I(b)\supseteq I(c)\iff a\mid c\land b\mid c. $ \Box
倍数法則との関連
倍数法則, 特に倍数法則の存在に関する必要十分条件はイデアルの内部構造を述べる定理として利用できる. 例として$ S(5) = 377777の場合を考える. 添字を計算すると$ 29232 x + 5となり, イデアル$ I(S(5))の元をすべて決定できる. ただし, $ I(S(29237))\subseteq I(S(5))であるにも関わらず$ S(29237)から$ S(5)を導出する手段は今の所未発見である.
倍数法則によれば, 添字に関する複数の方程式をあるSNNN数が満たす可能性も存在する. この場合複数のSNNN数の倍数として特定のSNNN数が存在することとなり, Prop. 2 (1.)の通り部分イデアルとしての挙動を示す.
孤立SNNN数
注: 本節は全編informalかつ未証明なメモ書きに留まる
与えられたSNNN数について, そのSNNN数を含む最大のイデアルを求める問題は未解決である. ただし, そのようなSNNN数が存在する事自体は明白である(e.g. 3「で」割り切るSNNN数は無限に存在するけれども, 3「を」割り切るSNNN数は3以外に存在しない. したがって$ I(3)は3の倍数になっているようなSNNN数の全体の中でも最大のものである).
このようなSNNN数を孤立SNNN数と呼ぶことにしてみたい(今の所試論レベルであり, 本記事中のみでの用語とする). SNNN素数は孤立SNNN数であるから, SNNN予想にも多少の見方を提供してくれるのではないか? という期待を持っている. Open Problem
Prop. 2 (2.)において, 等号の成立条件はなにか?
あるSNNN数のイデアルを含む最大のイデアルを求める方法は存在するか? (全体での最大ではなく, 極大元として求められればよい)
それぞれの$ x\in\mathbb{S}について$ \min \lbrace\,a\mid a\in\mathbb{S}.\ (a\mid x).\,\rbrace を求める方法はあるか?
素朴な順序位相以外に何らかの位相構造を定めることは可能か?
より有用な順序の定義は存在するか?
素因数の数は一つの候補である. しかし明確に数値化できるなら測度にしたほうがいいのではないか.
孤立SNNN数は無限に存在するか?
孤立SNNN数であり, なおかつSNNN素数ではない ものを特徴付けることはできるか?