6. Memory Traces / Sarah Robins
1.イントロ
記憶の議論で記憶痕跡(memory trace)は常に出てくる。
2. 記憶痕跡とは何か
記憶痕跡は、engram、memory image、representationなどと様々に呼ばれる
論点1:どのタイプの記憶が記憶痕跡を伴うか
エピソード記憶は表象的な痕跡を要するかどうか。
モニュメントなどは、集合的想起(collective remembering)の記憶痕跡とみなすこともできる
論点2:記憶痕跡とは、個人レベル(personal)のものなのか、個人より低レベル(subpersonal)なものなのか
神経系による記憶痕跡は、subpersonal
論点3:記憶痕跡はどのようにして過去を表象するのか。
いくつもの軸がある:
静的 vs 動的 な痕跡
analogous vs pattern
記号的 vs コネクショニズム的 な痕跡
表象 vs 傾向 としての痕跡
局在 vs 分散的な 痕跡
3. なぜ想起は記憶痕跡を必要とするのか
何種類かの答えがある:
①過去を表象するため
表象主義 representationalism…アリストテレスもこの立場
ラッセル:「記憶はイメージを必要とする」
表象主義への反論
Reid
ウィトゲンシュタイン「なぜ痕跡が必要なのか?」
無限後退が起こる
②因果的なギャップを埋めるため
過去のイベントからの因果的なつながりが必要:記憶の因果説
反論
Squiers 1969
ラッセル:因果はあるがトレースはない
③想起と再学習を区別するため
再学習をどう想起と区別するかは難しい問題
④記憶の科学を成り立たせるため
記憶痕跡が残っているというのは、経験科学的な記憶研究の大前提(guiding assumption)
符号化‐保持‐想起(E-S-R)モデルは、「前理論的な方向づけのためのフレームワーク」(byシャクター)
科学では記憶痕跡の存在は疑われない。
チャレンジは、頻発する過誤記憶をどう説明するか。記憶痕跡を退ける議論もある。De Brigard 2014