20. Collective Memory / Jeffrey Andrew Barash
近年、盛んに語られるようになった「集合的記憶」。その概念的な明確化について議論する。
1. 集合的記憶というトピックの登場
キリスト教神学など、人間の本質に関する所与の形而上学的スキームが弱まる
フランス革命後、ヘーゲル『精神現象学』にて記憶が「collective identity」の源として扱われる
歴史的連続性の精神的源としての記憶
第一次世界大戦後、エヴァルト・ヘリングらの「organic memory(有機的記憶?)」の見方が登場
無意識の記憶が、人間集団の結束に寄与
2. モーリス・アルヴァックス
※モーリス・アルブヴァクス(Maurice Halbwachs, 1877年3月11日 - 1945年3月16日)
アルヴァックスは、歴史的な非連続性discontinuityに光を当てる。
記憶の断絶が、世代交代による起こる
アルヴァックスへの批判
リクール:個人の自発性と自律性を指摘
ピーター・バーク、アライダ&ジャン・アスマン:集合的記憶と歴史理解を併せて「社会的記憶」として捉える
3. 現代の社会分析と集合的記憶
著者(Barash)自身の見解
集団が経験することや記憶することは、言語や記号を介して行われることに注目。
集合的記憶と、社会的想像(social imagination)とが近づく
4. 集合的記憶の記号による具現化 symbolic embodiement
記号の3つの時間的展開
reiterative temporal rhythm
commemorative practice
long-term group dispositions
※雑感:難しい
5.集合的記憶と、歴史的過去の間
集合的記憶を担保する記号のニュアンスなどが失われるとき、断絶が起こる
雑感:アルヴァックスの議論に、「記号」にまつわる集合的理解(言語ゲーム?)という観点を加えている?
6. マスメディア時代の集合的記憶
マスメディアの登場によって、個人や小グループでの経験と、記憶の内容の分離が加速した。
ルーマン(2004)
新聞やテレビなどのマスメディアが大衆の記憶(public remembrance)に入り込む
マスメディアの特徴
①映像などが小さいスクリーンのなかに凝縮されている
②情報は、多くの大衆の興味に沿ったものが提供される
③脈絡なく次々と話題が切り替わる(turnover)
マスメディアのフォーマットは意識されることはないが、集合的記憶の在り方に影響する
インターネットは記憶の観点の多元化に貢献?
現代社会における集合的記憶のパラドキシカルな役割
一方で、集合的記憶は政治的アイデンティティの乗り物となる
他方で、マスメディアによってもたらされる記憶内容の表象はますます捉えどころないものelusiveに
どんどんモニュメントやアーカイブを増やしていく。そのことには危険もある。
日々の記憶が、「集合的ファンタジー」によって浸食されていく危険。
※雑感:著者の論旨が完全にはおえていない。