ローカルヒーローのマスクにみる技術進化
大川内麟太郎「ローカルヒーローのマスクにみる技術進化」
2017年02月26日:京都民俗学会第295回談話会(第8回卒業論文報告会)@立命館大学衣笠キャンパス
報告要旨
本研究では、ローカルヒーロー団体が製作したマスクが、現在の形態に至るまでの系譜を明らかにする。ローカルヒーローの活動内容や運営母体について、石井龍太「多様化するローカルヒーローの認識と実態」(『城西大学経営紀要』第11巻、2015年)が全国の動向を概観している。地域おこしの観点からの評論も多いローカルヒーローだが、実際その活動に携わっている立場からすると、その制作現場の創意工夫にこそ、面白さがある。現行のテレビヒーロー番組では、見栄えを優先したアップ用と、アクロバットなど演技のために視界を確保したアクション用と、二種類のマスクを使い分けているが、ショーを前提とするローカルヒーローのばあい、基本はアクション用である。今回は、オリジナルヒーロー団体として30年近く活動してきたTMCワイルドに協力を仰ぎ、マスク製作者へのインタビューと、保管されている最古の『夢幻戦隊バトルマン』(1988年8月初演)から、最新の『機天草子織姫ヒメル』(2008年10月初演)まで、歴代ヒーローマスク全34個を実際に手に取り、詳細に観察する機会を得た。マスクそれぞれにつき、正面・側面・背面および上方・下方そして内部の6面をスケッチすることで特徴を把握し、分析・考察した。結果、外観だけでなく、視界確保やとめ具の位置など、微細な創意工夫が積み重ねられてきたことを、明らかにすることができた。 https://gyazo.com/23b0d03b3e896d5d420936f0ea75e82a
図1.TMCワイルドのマスク一覧(スケッチ・大川内麟太郎)
https://gyazo.com/7b9cec3d1c24a3a88f53aead2a438609
図2.発表を邪魔する悪役と対峙する発表者/投影図は図1のマスクを技術進化の系統樹として整理したもの
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