1年の仕上げ。経験の言語的結晶化
1年の仕上げ。経験の言語的結晶化
経験の言語化。
けテぶれシートを実践の核として1年間活用し続けるのなら、1年の最後にはその総まとめの活動を仕組むことをおすすめします。1時間の活動が終われば、その活動で何を考えて何と学んだか、ということを振り返り、文章化させるということはよくやりますよね。それを1年のスパンでやる、ということです。これができるのは本書で紹介しているようなけテぶれの理論によって、1年スパンでの教育カリキュラムが存在させることができているからです。ねらいのない活動を振り返ってもあまり実りはありませんよね。
振り返り方は、単に文章化することもいいのですが、僕は文章化する前に、(もしくはその後に)「ことわざづくり」をおすすめしています。
①ことわざづくり
ことわざとは、短い言い言い回しや、比喩によって人が生きる上で大切なメッセージを表現する、といったものです。ことわざの成立過程とは、作ったひとが今までの経験を統合し、そこから大切な気付きを得て、それを上手に表現しようとする、というものでしょう。これを追体験するのです。
1年間のけテぶれシート上で「学ぶこと」に関して徹底的に考え抜いてきた内容を振り返り、そこから自分なりに“最も大切”と思えるメッセージを抽出し、それを様々な表現技法を活用して、表現しようとします。
単なる文章化だけではなく、この活動をする理由は、「子どもたちの記憶に残したいから」です。自分の経験を数文字のことわざにまで凝縮すれば、もしかすればそれが自分を支える言葉となる子も出てくるかもしれませんよね。誰かに言われた言葉が自分の支えとなっている、というエピソードはよく聞くことです。そういう言葉は誰かからもらうことでしか得られないのでしょうか。徹底的に考え抜いてきた自分の経験を振り返り、そこから抽出し、凝縮した言葉は、子どもたちの人生を支えうる強度を持たないでしょうか。僕はそこに可能性を見出しています。結果的にどうなるかはわかりません。でも、一生を支えられる何なにかを子どもたちの手の中に残してやれる可能性はどこまでも追い続けたい。そう思うのです。
https://scrapbox.io/files/61370fde1ce9a10020d5330b.pnghttps://scrapbox.io/files/61370fe551d2e5001d865ba4.pnghttps://scrapbox.io/files/61370fee763903001fcf6b90.pnghttps://scrapbox.io/files/61370ff946922b00226d5784.pnghttps://scrapbox.io/files/6137100021b7ff00235d79ae.pnghttps://scrapbox.io/files/613710087149c3001f8c0d78.pnghttps://scrapbox.io/files/61371011489003001d0eb4e0.pnghttps://scrapbox.io/files/61371019fa0602001da07fe9.png
②文集づくり
ことわざを作ることができれば、それを題名にして、作文をします。もう一度そのことわざの意味を整理し、そこに具体的な場面を添えて文章にしていくということです。これらを集めて文集にすれば、その文集は単なる思い出以上の価値が出るはずです。(2019年は、コロナでその活動ができなかったのが残念です)
これをする理由も同じですね。「ことわざづくり」はその制作過程と、作成されたことわざそのものを記憶に残そうとしましたが、「文集づくり」はそれらを具体的な解説文と共に記録に残そうとします。(さらに、文集化することで他者の気づきにも詳しくアプローチできます)狙いは同じ。一生を支えられるような「何か」をいかに子どもたちの手に残すか。それを考えてのことです。