学習力のABC+1:ルーブリックの使い方(発展)
学習力のABC+1:ルーブリックの使い方(発展)
「学びのための評価」とするために、評価の視点は子どもたちとシェアして、その視点を使う機会を大量に設定することと、学習者の自己評価と指導者からの評価を両輪とし、その質を上げていくことが大切であると述べました。
しかし、このような学習形態で自分のことを見つめるという経験を初めてする子どもたちと、徹底的にそういうことについて考えを深め、いろいろな具体を知っている教師とでは、学習活動の観察眼の質に差があることもまた事実でしょう。ですから、1年のはじめには当然、教師によるフィード・バックを確実に受け取り、そこから学習活動の見方を学ぶという局面も必要です。この構造にはもう何度も言及していますが、「守破離」のプロセスを意識する必要があるということです。
僕の考えはP○に示したように、守破離は順番に展開するのではなく、守と破の間を行ったり着たりする間にいつの間にか「離」へと至っているというイメージです。
「守」が定借し始めれば、子どもたちはこのルーブリックを見なくてもABC+1の視点で素早く自己評価をできるようになりますし、活動中にもそれを意識して、リアルタイムに行動を変容させようとする姿も見せてくれます。
そこで、このルーブリックも使いながら目指したいのは、基準となる文言を自分で作成するというところです。「学習力のABC+1」の各観点における評価の規準は、あくまでも先生が定義したものです。でも、Aさんにとっての最高規準が、Bさんにとっても同じということは在りえませんよね。本質的には、子どもたち一人ひとりに固有のルーブリックがあるはずなのです。ルーブリックを使った自己評価は、それをよりよく使えるようになるための努力と同時に、そのルーブリックを土台に自分なりの評価基準を削り出してくるという思考もまた一方で意識するといいと思います。うまく行かなければまた先生の基準に戻ればいいのです。そうやって与えられた「型」を変えてみたり、また「型」に戻ったりする中で、「自分で自分を見る目」が育っていくのだと思っています。
(これは「けテぶれ」をより良く使えるようになる努力と、自分なりの学び方を見出そうとする努力の両輪で学習をすすめるという考え方と同じですね。)