けテぶれシート分析の視点
けテぶれシート分析の視点
視点1:計画ができたかどうかを丸付けする。
まずは自分の計画ができたかどうかを「丸付け」によって判断します。単純に、できたものに○、できなかったものにチェックをつけるだけです。
また計画になかったことをやった場合は、それを「お直し」のように、赤で書き込むということもしてみるといいと思います。
視点2:学習力のABC+1によるルーブリック評価。(主観+段階評価)
実際にやったことが明確になれば、その中での自分の行動を詳しく振り返ってみます。使うのは「学習力ルーブリック」です(学習力ルーブリックについての詳しい説明はP○)。いわゆるパフォーマンス評価というものですね。ルーブリックに照らし合わせて自分のパフォーマンス(学習行動)の質を判断するのです。これも基準にある文言と自分の学習を照らし合わせて「できたかできなかったか」という思考の部類には入りますが、判断基準が難しいので、なれるのに時間がかかるかもしれません。初期は分析の時間毎に、判断基準を説明し、みんなで一緒に書き込んでいく、といった丁寧な関わりが必要です。
なれてくれば子どもたちは、活動の最後に意識するだけでなく、活動の最中にもこのルーブリックを意識して、自分の学習活動を調整することができるようになってきます。僕はこれを「視点が身体化する」と言っています。(その先にこのルーブリックを自作するという活動ももちろん設定可能ですし、おすすめです。)リアルタイムに、このルーブリックの視点を使って自分の学習行動をモニタリングしながら、調整できるようになれば、子どもたちの学習活動の質はかなり上がっていることになりますよね。
視点3:点数評価(客観+数字)
ここでは、その時間の学習の質を100点満点でどれくらいだったかを感覚的に点数化します。客観的に”できたかできなかったか”という分析と共に、主観的に”大体これくらい!”という分析もまた、自分の行動を振り返るときには有効だと思っています。精緻な分析は対象を切り分けて詳しく分析するときに向いていますが、その分、全体構造を失いやすいという欠点があります
また、何の基準もなく漠然と評価をつけると、点数に一貫性がなくなり、点数化の意味があまりなくなってしまうこともあります。そういうときは、ルーブリックの各項目に点数をつけ、その合計点をここに書く、という方法もいいと思います。
例えばP〇〇に掲載したルーブリックを使用した時、☆=25点 ◎=15点 ◯=5点 ✗=0点という点数配分にすれば、【学習力A…☆、学習力B…◎、学習力C=…☆、学習力+…◯】と自己評価した子は、【25+15+25+5=70】となり、学習力の点数は70点、ということになります。
クラスの状況に合わせて、柔軟に仕組みを考えてみてください。
視点4:タイトルを考える(主観感覚+文字)
ここでは文字通り、その時間の学習の質に応じた「タイトル」を考案します。前述したとおり、これも「全体的、感覚的」な評価ですね。視点3の点数評価との違いは、「数字ではなく、文字で表す」という点です。この違いもまた、振り返る視点に微妙な変化がもたらされます。このタイトルを書くタイミングですが、子どもたちの様子を見ていると、一番最後に書く子が多かったように感じます。視点5で紹介する「プラスマイナス矢印」での記述的評価も「文字による評価」です。そこで抜き出された要素と構造をひとまとめにして、タイトル化する。という流れが、子どもたちの思考の流れとしてやりやすかったのだと思います。
視点5:プラスマイナス矢印
ここでは「プラス=良かったところ」「マイナス=ダメだったところ」「矢印=これからはどうするか」の3視点で自分の学習行動を分析し、言語化します。ただ「振り返りましょう」と言うだけでは、子どもたちは何を書けばいいのか困ってしまいます。一方、そういう指示だけでサラサラと書ける勘のいい子も”先生は何を書けばいいと思っているか”を敏感に読み取って、表面的に言葉を並べているだけであるケースが多く見受けられます。しかしこのけテぶれシートでは、この振り返りの記述に入る前に、自分の学習行動をどう分析するかの視点がたくさん刺激されるような作りになっています。さらに、ここでも「+、ー、→」という3つの視点に分けて記述するような構造になっています。こうして「なんとなく振り返る」ということを回避しているのです。なんとなくやっていることは、いつまでたってもなんとなくしかできないからです。ここでやりたいのは「自分の行動を自分で分析する」ということ。これがいつまで経っても「なんとなくしかできない」ようでは、自立した学習者になるという目的地にたどり着くことはできません。
とはいえ、このシート使い始めて日が浅い段階では、少ししか書けない子や、表面的な記述で止まってしまう子はいます。「けテぶれシート」のようなツールだけを渡した瞬間から、すべての子が深く自分を分析できるようになるのなら、指導者はいりません。その逆です。すべての子が「今できる最大深度の思考から、1mmでも深く考えられるようにする」のが指導者の役目だと考えます。その指導法については(P○)で詳しく述べます。