「やらせる」なら、必ずフィードバックをする。
子どもたちになにか活動を促す際、指導者のフィードバックの質や量が子どもたちのモチベーションの維持向上に非常に大切です。フィードバックには三つのポイントを意識しています。
1つ目のポイントは「即時評価」です。教師からのフィードバックは、自分が実際に体験してみた直後に受け取ることで、自分の体験の記憶と指導者からのフィードバックの内容を深く関連させることができます。逆にいうと体験をしてもそれに対するフィードバックが遅れてしまうと、なんのことを言われているのか、わからなくなってしまいます。挑戦とフィードバック。このサイクルが早ければ早いほど、子どもたちの自己改善サイクルは高速回転します。 二つ目のポイントは、「明瞭評価」です。同じことをやっているのに教師から言われることが毎回ちがったり、何を根拠に評価がなされているのかがわからなかったりすれば、子どもたちは教師からのフィードバックを受け取りにくくなります。評価基準を図や表として明示し、「教師も子どもたちも同じ視点で学びを見る」という構造を作ることが大切です。「けテぶれルーブリック」と検索していただければ、けテぶれ実践における評価基準の例を見ることができます。 最後に、最も大切なのは子どもたちの学びの姿から「価値を発掘する」姿勢です。私はこれを「発掘評価」と呼んでいます。 子どもたちは「今日は△△という学び方をした」と振り返ることができても、それが学習を進める上でどのような意義がありどのような効果を発揮しているのかについて自覚的でない場合も多くあります。ここに気づかせてやるのが、フィードバックもっとも大切な機能だと思っています。
本人たちとしては自然にやっていることの中に、学習者として自立するためにとても大切な考え方や取り組みが隠れていることがたくさんあります。指導者は子どもたちの無意識の行動の中に含まれる「価値」を発掘し、わかりやすい言葉へと磨き(明瞭評価)、見つけた直後に教室全体に紹介する(即時評価)。この質と量こそが。指導者としての腕の見せ所だと思っています。