QNKSを社会に導入する時の先生と子供のやり取り
では社会の学習を始めましょう。突然ですが、先日紹介したQNKSを覚えていますか?社会の授業ではこの「QNKS」を使って、まず自分で教科書を読んでもらいます。さて、みなさん。今から教科書を読みましょう、と言われたらまず何をしますか?
え・・?自分で黙って読む…。
そうですね!当たり前のことを聞いて混乱させてしまったかもしれませんね。そう。読みましょうと言われたら、まず読んでみるよね。そのとおりです。今日は教科書のP2を学習しますが、ここでも同じです。まず、一人でだまって読んでみます。ですがこの時の注意点が一つだけあります。「1回読んだだけで全部わかろう」と思わないでください。一回目に読むときは「わからなくて当然」という意識で読みましょう。全く知らない文章を読む時、1回で理解できる人は少ないです。わからなくて当然。一つか2つ、ふーん、と思える場所があれば大成功。教科書の新しいページを読むときは、そういう意識で読みます。 では一度やってみましょう。教科書のP2,3ページを見てください。このページに書いてあることを「わからなくて当然。一つか2つ、ふーん!と思えることが在れば大成功!」という意識でさーっと読んでみてください。それではスタート。
・・・
さて、どうだったでしょうか。理解度を指の本数で示してみましょう。5はほとんど理解できたよ!反対に1はぜんぜんわからなかった!です。ではどうぞ。 なるほど。様々ですね。はいおろしましょう。このように自分で読みましょう、というだけでは理解度に差ができてしまいますね。さらに、5を出した人が、本当に5の理解をしているかどうかもわかりませんよね。逆に1と出せた人は、自分の読みが不十分だなぁとわかっているということですので、本当は読めていないのに5を出している人よりも今後の勉強がしやすいかもしれません。文章を一度読んだだけではこのように理解できる人もできない人もいれば、自分がどの程度理解できているかもわからないのです。まだまだ「自分で読めた」という状態ではないですね。大切なのはこの次からの学びですね。では次に何をすればいいでしょう?
???
(なにか意見が出たら、QNKSの文脈で解釈し、価値付ける。例えば「大切なところに線を引く」などが出れば、『とても大切なことですね!それはQNKSの「N」に当たることです。線を引くということは教科書の文章の中から、大切な情報に印を入れて抜き出しているのと同じですよね!』とするなど。)わからなくて当然です。これから学習するのですから。ここでQNKSの出番なのです。QNKSのQはなんでしたか?
「問いを持つ」
そうですね。これはもう決まっています。「教科書に書いてあることはなんだろう?」ですね。これがいま全員の頭の中にあるQです。ではQの次はなんですか?
N:抜き出す
そのとおりです。問いを解決するために大切な情報を「抜き出す」のが次にやるべきことです。では教科書を見てみましょう。このページで大切な情報とは何でしょうか?
(挙手)
そうですね。で、みなさん、気づきましたね。社会の教科書はQNKSがやりやすいことに。そうです。Nをする時、大切な言葉はもうすでに太字になっているのですね。これで、一度自分で読んでみた後、QNKSをする時、何を抜き出していいかわからない!という状況を避けることができます。太字を抜き出せばいいだけなのですから!さて、ここからはノートを使います。全員ノートの新しいページを開きましょう。まずノートの真ん中にQを書きます。「教科書P2.3」には何がかいてあるのか」ですね。そしてその周りにキーワードをN、抜き出してきます。始めの太字はなんですか?
〇〇です
そうですね。ではそれをQの周りに書きましょう。(板書)同じようにすべての太字を抜き出してきましょう。 できましたか?これでQの答えとすべき情報が抜き出されましたね。ですがまだまだ情報が足りません。これでは太字をとりあえず書き出しただけで、その意味がわかりませんよね。 そこで次はこの太字に関係しそうな情報も抜き出してきます。例えば、始めの太字である〇〇という言葉を見てください。その周りの文章を読めば、なんとなく〇〇に関係がありそうな言葉が見つかるはずです。例えばどんな言葉が関係ありそうですか?見つかった人は手を上げてください。
△△です。
そうですね!まだありますか?(出された意見を黒板に書いていく)黒板を見てください。いま見つけてくれた〇〇に関する情報はこのように抜き出してきました。こうすれば、今見つけた言葉が、太字の〇〇に関係する言葉だということが分かりますね。これだけ抜き出してくることができれば、太字の〇〇のことが少し理解できそうです。誰か、いま抜き出してきたこれらの言葉を使って太字の〇〇を説明できる人はいますか?
(挙手)
いいですね。こうやって、抜き出した言葉を使って太字を説明することができれば、その情報に関するNは十分だという判断ができます。同じようにみんなも頭の中でこの太字の〇〇を説明してみましょう。せーの。うまくできましたか?うまくできた人は、残りの言葉も同じように抜き出して、頭の中で説明をして、とやっていきましょう。うまくできなかった人は、太字の〇〇の周りの文章をよく見て、足りない情報を抜き出してきましょう。それではそれぞれスタート!
全部の言葉を説明できるように抜き出せたよという子は前に来てください。(できた順で2〜3人のグループにし、用語の説明を聞き合わせる。そこで足りない情報や間違いがあれば図を更新させる)
さてではここまでにしましょう。最後にもう一度、教科書の文章を最初から最後まで読んでみましょう。どうですか?始めに読んだときよりもよく分かるようになっていませんか?今日はQNKSのQNだけでした。それだけでもこれだけ読めるようになるのです。すごいですよね。では次の時間にはK,Sの解説をします。
QNKS導入2時間目
では今日も始めましょう。前回はQNKSのQとNの方法について学習しましたね。今日はKとSの方法を学習していきましょう。まず、復習です。QNKSとは何の略でしたか?
(挙手)
はいそうですね。つまり今日学習するKとは、「組み立てる」ということする段階です。何を組み立てるのでしょう?
前やったやつ!
そうですね。ではノートを開きましょう。前の授業で行ったNを見て、何をやってきたかを思い出してください。・・・どうですか?思い出せましたか?誰か前の授業でやったことを簡単に説明できる人はいませんか?
(挙手)
そうですね。完璧です。ちなみに今答えてくれたAくんも、今の答えを作るためめにQNKSをしたんですよ。先生の質問は「Q」ですね。それに答えるために、Nで、頭の中から情報を抜き出して、Kで順番に並べて、Sで話してくれたわけです。今からみんながやる(K)も同じことですね。Q:教科書には何が書いてあるのだろうという問いに答えるためにN情報を抜き出すことはできたわけですから、(K)では、それらを順番に並べていけばいいのです。実際に先生がやってみますので、黒板を見てください。
(板書)
分かりますか?これがKです。Nで抜き出してきた教科書の太字を、四角で囲んで、出てきた順番に縦に並べただけです。簡単でしょう?だって教科書の内容を説明できればいいのですからこれでいいのです。もちろん自分が説明しやすい順番に並べ替えることもOKです。これをKの“背骨”と言います。ですが、これだけで終わりというわけではありません。骨には肉がついていますよね。同じようにQNKSの背骨にもお肉をつけます。ここで言うお肉とは、背骨の言葉をより詳しく説明する言葉のことです。前の授業でやったNを参考にしましょう。太字に関連する言葉は線でつないで抜き出していますね。その情報を対応する背骨のお肉として追加していきます。一つだけ先生がやってみますね。
(板書)
分かりましたか?このように、背骨を立て、お肉をつけることができればKの完成です。これをするにはNを見ながらするのがいいですよね。ではみなさんもノートを開いてやってみましょう。Nをやったページの隣のページにKを書いてみましょう。(早い子は前回と同じく前にこさせ、できた順番に2〜3人のグループにして、今度はK全体の説明を聞きあう)
はいでは、一度切ります。いよいよ最後のSに挑戦です。Sは何をすることでしたか?
整理する
そのとおりです。より詳しく言うなら「Qに答えられるように抜き出して、組み立ててきた情報を、整理する」となります。このやり方も簡単。黒板を見てください。Qに答えるためには、このKをみて、最初から最後まで自分の言葉で内容を説明できればいいのです。まず、先生がやってみましょう。
(黒板のKにある情報を一つずつ指差しながら説明をしていく)
今の先生のように、Kを見ながら教科書の内容を説明できれば、Sの準備完了です。ここが最も重要です。教科書を見てはいけません。Kだけを見て、説明ができるかどうかを確かめることが大切です。説明に詰まってしまうということは、まだ必要な情報が足りていないということです。その時は教科書を開いて、足りない情報をKに付け加え、自分が説明しやすいようにKを書き直していきましょう。ぐちゃぐちゃになってしまっても全く構いません。どんどん書き込んだり、書き直したりしてみましょう。
Sがスラスラと言えた人は最後の仕上げです。そのSを文章にしてください。教科書に書かれていることを自分で理解して、自分の言葉で短くまとめる。これを「要約」といいます。これを書くことができればあなたは間違いなく教科書の内容を理解できていると言えるでしょう。それではやってみましょう。どうぞ。
(早い子は前回と同じく前にこさせ、できた順番に2〜3人のグループにして、Sの文章を読み、内容について順番に質問をし合う。つまりQNKSの2周目である。友達から出されたQに対して、自分のKを見ながら、Sを返す。このやり取りをする。この時、うまく答えられない事があれば、自分のKに不備があるということなので、自分のKに情報を加えたり、書き直したりする。)
これでQNKSの流れの説明は終わりです。社会の授業では、こうやって「自分で教科書を読む力」を高めていきましょう。