QNKSを活用した授業計画の具体例
1. 小学校中学年 国語科「説明文の読解」(2時間構成)
1時間目:QNKSで文章構造を理解する
準備物
説明文教材(例:「大豆は野菜か豆か」)
Nカード(または付箋紙)
ワークシート(QNKSの枠組み入り)
掲示用の大きなQNKS図
授業の流れ
1. 導入(5分)
今日の学習課題を確認「説明文から大切な情報を見つけて、整理しよう」
QNKSの手順を簡単に復習
2. Q-問いの設定(5分)
教材文のタイトルや見出しから、どんな問いが設定されているか考える
例:「大豆は野菜なのか、それとも豆なのか?」
補助発問:「この文章は何について説明しているのかな?」
3. N-抜き出し(15分)
個人で文章を読み、重要だと思う情報をNカードに書き出す
1カードに1情報のルールを徹底
教師は机間指導で、キーワードや重要文に注目するよう声かけ
グループで集めた情報を共有し、足りない情報を補完
4. K-組み立て(15分)
集めたカードを模造紙に並べ、関連するものをグループ化
情報同士のつながりを矢印などで表す
中心となる問いから、どのように情報が展開しているかを図示
グループで協力して論理構造を明らかにする
5. まとめ(5分)
次回のSのステップについて予告
良い組み立て例を紹介
2時間目:続きとまとめ(S-整理)
1. 前時の復習(5分)
前回作った情報の組み立て(K)を確認
2. S-整理(25分)
Kの図をもとに、文章の要約を書く
以下の視点で整理する:
「誰に伝えるか」を意識させる(例:3年生の友達に説明する)
必要な情報を選び、わかりやすい言葉で表現
筆者の主張や結論を明確にする
ペアで読み合い、改善点を指摘し合う
3. 共有と振り返り(15分)
数名の児童が作成した要約を発表
良い点をクラスで共有
説明文の構造(問い-答え、比較、列挙など)について気づいたことを交流
QNKSを使って読むメリットを振り返る
4. 次への発展(5分)
他の説明文でもQNKSを活用するよう促す
次回の学習内容の予告
2. 小学校高学年 社会科「日本の工業」(3時間構成)
1時間目:情報収集とQの設定
準備物
教科書、資料集
タブレット(調べ学習用)
QNKSワークシート
授業の流れ
1. 導入(10分)
身の回りの工業製品を話題に関心を高める
「日本の工業について知りたいことは何か」をブレインストーミング
QNKSの手順を確認
2. Q-問いの設定(10分)
グループで「日本の工業について探究したい問い」を考える
例:「なぜ日本の自動車産業は世界で成功したのか?」
クラス全体で問いを共有し、類似の問いをまとめる
各グループが取り組む問いを決定
3. N-情報収集計画(25分)
問いを解決するために必要な情報は何かを考える
情報源(教科書、資料集、インターネット、インタビューなど)を検討
情報収集の分担を決める
情報カードの記入方法を確認(出典も記録)
4. 次時の予告(5分)
次回までに情報収集を進めておくよう指示
集めた情報カードを持ち寄る
2時間目:N収集とK組み立て
1. 前時の確認(5分)
グループごとの問いと収集した情報を確認
2. N-追加情報収集(15分)
集めてきた情報を整理
足りない情報を補完するために教室の資料やタブレットで追加調査
情報カードを充実させる
3. K-組み立て(25分)
集めた情報カードを模造紙に配置
情報の関連性や重要度を考えながら整理
「原因と結果」「時系列」「比較」など、適切な組み立て方を選択
図解化(矢印、囲み、記号などを使用)
4. 中間発表(5分)
現時点での組み立て状況を簡単に発表
他グループからのアドバイスをもらう
3時間目:完成とプレゼンテーション
1. K-組み立ての完成(10分)
前回の続きから組み立てを完成させる
2. S-整理とプレゼン準備(15分)
組み立てた情報をもとに、発表原稿作成
プレゼン資料(ポスターやスライド)の作成
発表の役割分担
3. プレゼンテーション(20分)
各グループ3分程度で発表
質疑応答
4. 振り返り(5分)
QNKSを使った調査学習の良かった点・難しかった点を共有
次の単元での活用方法を考える
3. 中学校 理科「化学変化と原子・分子」(2時間構成)
1時間目:実験前のQNKS構想
準備物
教科書
実験用ワークシート(QNKSフレーム入り)
実験器具(次時使用)
授業の流れ
1. 導入(5分)
水の電気分解の演示実験を簡単に見せる
「何が起きているのだろう」と問いかける
2. Q-問いの設定(10分)
「水の電気分解で何が起こるのか」を中心的な問いとして設定
補助的な問い(水から何ができるのか、なぜ気体が発生するのか等)も考える
3. 事前知識の確認(5分)
原子と分子について既習事項を振り返る
化学式で水を表すと何か確認
4. N-予想の情報収集(15分)
教科書や既習事項から、予想の根拠となる情報を集める
Nカードに書き出す(例:「水は水素と酸素からできている」「電気を流すと化学変化が起こることがある」など)
5. K-予想の組み立て(10分)
集めた情報を基に、実験で起こりそうなことを図や文章で表現
化学式も用いて表現する
実験で観察すべきポイントを整理
6. 次時の実験の説明(5分)
実験の手順と安全上の注意点を確認
観察のポイントを再確認
2時間目:実験と結果の整理
1. 前時の復習(5分)
予想と観察ポイントの確認
2. 実験の実施(20分)
グループで水の電気分解実験を行う
気体の発生量や特性を観察・記録
結果をNカードに記録
3. K-実験結果の組み立て(10分)
観察事実と予想を比較
化学反応式で表現
図や図表で整理
4. S-考察の整理(10分)
実験結果から言えることを整理
なぜそのような結果になったのかを化学的に説明
予想と異なる点があれば、その理由を考察
5. まとめと振り返り(5分)
水の電気分解について学んだことをまとめる
QNKSを使った実験計画と考察の良かった点を振り返る
4. 小学校低学年 生活科「季節の変化と生き物」(1時間構成)
準備物
季節の写真や実物(落ち葉、どんぐりなど)
動植物の観察カード(過去の記録)
大きな模造紙
色カード(青、赤、緑など季節を表す色)
授業の流れ
1. 導入(5分)
季節の変化について話し合う
「今の季節の特徴は何だろう?」と問いかける
2. Q-問いを考える(5分)
「秋になると、生き物や植物はどう変わるのかな?」
シンプルな問いを板書で示す
3. N-気づきを集める(15分)
校庭で見つけた秋の自然物や写真を見ながら、気づいたことを発表
教師が気づきを色カードに簡単に書き記す
「木の葉が赤くなった」「どんぐりが落ちている」「虫の鳴き声が変わった」など
4. K-みんなの気づきをまとめる(15分)
色カードを大きな模造紙に貼り、関連するものを近くに配置
「植物の変化」「動物の変化」「天気や気温の変化」などのグループに分ける
簡単な絵や矢印を加えてつながりを示す
教師は子どもたちの言葉を生かしながら支援
5. S-みんなで発表する(5分)
グループごとに気づいたことを発表
「秋になると〇〇が△△になります」という文型を使って発表
6. まとめと次の活動予告(5分)
季節の変化と生き物の関係についてまとめる
次は「冬の変化」を調べることを予告
5. 中学校 英語「自己紹介文を書こう」(2時間構成)
1時間目:情報収集と構成
準備物
教科書のモデル文
QNKSワークシート(英語版)
自己紹介に関する語彙リスト
授業の流れ
1. 導入(5分)
ALTの自己紹介を聞く
「良い自己紹介の特徴は何か」を考える
2. Q-問いの設定(5分)
「どうすれば相手に伝わる良い自己紹介ができるか」を問いとして設定
英語での表現方法も確認:
"How can I write a good self-introduction?"
3. モデル文の分析(10分)
教科書のモデル文を読む
構成や使われている表現を確認
良い点をNカードに英語で記録
例:"Start with greeting", "Include hobbies"
4. N-自分の情報収集(15分)
自己紹介に含める情報を考える
名前、年齢、家族、趣味、好きなもの、将来の夢など
英語の語彙や表現をリストアップ
辞書や語彙リストを活用
5. K-自己紹介文の構成(10分)
収集した情報を配置
自己紹介の構成を決める
導入(挨拶、名前)
本体(個人情報、趣味、特技)
結び(将来の夢、締めの言葉)
各パートで使う英文を箇条書きでメモ
6. 次時の予告(5分)
構成をもとに自己紹介文を完成させることを予告
必要な語彙や表現を調べておくよう指示
2時間目:自己紹介文の完成と発表
1. 前時の復習(5分)
前回作成した自己紹介の構成を確認
2. S-自己紹介文の作成(20分)
構成メモをもとに、英語の自己紹介文を書く
教師やALTが巡回して個別指導
ペアで読み合い、改善点を指摘し合う
3. 修正と練習(10分)
フィードバックを基に修正
発音や抑揚を意識して練習
4. 発表(10分)
数名の生徒が自己紹介を発表
聞き手はメモを取り、質問を考える
5. 振り返りと拡張(5分)
QNKSを使って英作文を書くメリットを振り返る
さらに詳しい自己紹介や他のテーマでの活用を考える
これらの授業計画例は、各教科・学年に応じてアレンジすることが可能です。大切なのは、QNKSの各ステップが子どもたちの思考を可視化し、整理するプロセスをサポートすることです。また、単発の授業ではなく、継続的にQNKSを活用することで、子どもたちの思考力が徐々に高まっていくことを意識した計画を立てましょう。