プロジェクト組織の発展段階
概要
プロジェクト組織の発展の仕方には類型がある
それはいかなるプロジェクト進行手法を用いても変わらない
ただし、各段階によって適した手法がある
仮説として以下に記す
段階0
プロジェクトが開始されることを欲する、必然的な課題が環境に潜在的に存在している状態
誰かがその課題を発見し、関係する人や物事に働きかけ、変化をもたらそうと決心したときにプロジェクトは生まれる
段階1
あるプロジェクトを開始したい動機だけが存在している
どのような成果物がふさわしいか、まだわかっていない状態
誰と何を進めるのかも手探りな状態
段階2
とにもかくにも、達成すべき成果物が何かを、何かしら定めた状態
利用可能な資源がなにかはわかっていない状態
何が必要な資源かもわかっていない
その成果物を獲得することが、当初の動機を満たすという単純な図式が想定されている状態
その成果物を獲得する過程にどのような課題や困難があるかも未知な状態
段階3
明確に、これこそが達成すべき成果物であると主要な利害関係者の間で共通認識となっている状態
必要な資源が何であるかも明快な状態
なぜそれを獲得したいかという動機が明快な状態
しかし実は、獲得したら本当にその動機は満たされるのかはまだ検証されていない
つまり、その成果物の達成基準が明確化されておらず、利害関係者の間で合意形成もされていない
内部的な環境または外部環境に、達成することを阻む具体的な要因が存在していると認識されている
さらにそれは解消困難なトレードオフを孕んでおり、簡単には解決できないと認識されている
本当にその成果物が当初の動機を満たすのかについての再検討が発生している状態
段階4
成果物の達成基準が、主な利害関係者の全員または一部に仮説的に言語化されている状態
それによって資源、環境についての認識が創造的に更新可能な状態
プロジェクト実行主体者の認識レベルでの創造性
外部環境に働きかけることが可能であり、有意な関係性の変容を生み出すことが可能
実際に働きかけが実行されることにより、利害関係者間のトレードオフ関係にも変容が生まれている状態
成果物が達成されるための条件がプロジェクト実行主体者にとって意識され始めている状態
段階5
成果物の達成基準が、主な利害関係者の全員にとって共有されていて、豊かにイメージされている状態
加えて、成果物が達成されるための条件が主な利害関係者の全員または一部に明確に言語化されている状態
それにより、全ての主な利害関係者がすなわちプロジェクト実行主体者として自律的に機能している状態
各段階におけるワークショップの方法
段階1
獲得目標を定めるためのワークショップを行うのが良い
つまり、獲得の時期や大雑把なスコープだけを前提として、めいめいが思い描く獲得目標をもとにプ譜を書く
そのうえで、共有し、改めて合意すべき獲得目標を探る
段階2
各自の中間目的を定めるためのワークショップを行うのがよい
獲得目標は共通、その他は自由
この段階で、チーム全体の勝利条件を握ることには、さほどの意味はない
段階3
ここでいよいよ、達成基準としての勝利条件を探るためのワークショップが実施されるべきである
段階4
達成を阻むトレードオフ、構造的な困難を創造的、あるいは飛躍的なアイデアや方法で乗り越えるためのワークショップが実施されるべきである
必ずしもプ譜のワークショップを必要としない
段階5
もはやプ譜のワークショップを必要としない
考察
段階1や2で注意すべきこと
この時点で状況変化に対応しにくマスタープランを描くことの不可能性
にもかかわらず、この時点で社会的な契約関係が発生することの危険性
一定以上の企業規模におけるプロジェクトの場合
必然的帰結として段階3に進むわけだが・・・
「承認したこと」「起案したこと」がある種の既成事実として制約条件となる
それが事態を制御不能に導くこともある
スタートアップや有志プロジェクトの場合
段階3まで進めずに雲散霧消してしまうことも多い
ある種の勢いや偶然、特定の個人の内部にある強い動機が推進力となる
外部環境的な飢餓状態、あるいは外圧によっても推進される場合がある
段階3
一般的なプロジェクト進行手法が求められるのがこの段階である