プロジェクトとハンター
ビジネスプロジェクトの現場では、ときどき、どうかと思うような、非人間的な状況が生じる。
事前に顧客や上司、経営陣の後押しを得ていたとしても、結果につながらないと、あとからはしごを外されたり。「是非、これでお願いします」と言われていたのに「こんなはずじゃなかった」と手のひらを返されたり。味方だと思っていた人から、思わぬことで刺されたり。
理不尽な状況の例
事前の約束を果たしたのに、認められない
後出しジャンケンで条件を追加される
契約関係や組織の立場上、強く言い分を主張できない
精神的、身体的に苦痛を伴う業務
自分には責任がないのに、対応を強いられる
自分が取れる範囲以上の責任を強いられる
理不尽な状況とは、対等な人間同士として交わしたはずの約束が、一方的に反故され、生命財産や労働が搾取される状況である。権力の論理やお金の論理を用いて、暴力的に相手を言う通りさせる、ということは、極端にいえば、奴隷労働を相手に強いている、ということである。
そんなことが、あって良い訳はない。しかし、ブラック企業とか、多重請負とか、そんな現実を描写する言葉は枚挙にいとまがない。
そうしたことを考えるとき、思い出すのはハンタハンターという漫画作品の残酷描写である。
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HUNTER×HUNTERという作品が基調としている世界観では、身内同士、仲間同士と認めあった間柄では信頼関係や絆が描かれるが、コミュニティ外の他者と位置づけた相手には非常に残酷な行為がしばしばなされる。もちろん、フィクションならではのデフォルメされた描写であるわけだが、それは、私たちが生きる現実世界の似姿でもある。
非人間的で残酷な仕打ちや暴力的な行為が、この世にあっていいのだろうか?
常識的に考えて、良くないのは自明である。一方、現実的には、ある。それは事実である。たとえ形式上、コンプライアンスを完全に守っても、暴力の根本的な抑止は困難で、むしろ、形式上のコンプライアンスのために、何かが犠牲にされることも多い。
ハンターハンターという空前絶後の傑作は、まさにこの正義を問題としている。学問的にいえば、法哲学の領域を深く深く探っていく、エンタメに見せかけた哲学書のような著作なのである。
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