サガエメバトルの勝利条件
実に30時間をかけて、ボーニー・フォルミナ編をクリアした。
ネットで攻略情報を見ずに、独力でやろうと決めていた。ある程度まではなんとなく進められたのだが、ラスボスの「全き世界」が、どうにも勝てない。あんまり難しいものだから、さすがにちょっと調べてみると、周回プレイヤーの方々の悲鳴が散見された。そこで初めて、これ、たぶん、最初に選ぶべきストーリーでは、まったく、なかった…ということに気づいた。
虎穴陣を使ったら楽勝だった、という情報を見かけたが、もはや手に入れる方法はない。
詰んだのか…?
技や陣形の獲得、装備品のグレードアップ等をおざなりにしてきたので、もしかしたら、詰んでしまったのかもしれない、と、焦りながら、地道にバトルを積み重ねてみたのだった。
結論、ある程度ステータスアップをはかれば、それなりにラスボスを倒しやすくなるのがわかってきた。10時間ぐらいを地道なステータスアップに費やして、HPとしては平均400ぐらいまで成長させ、ようやく撃破した。
その昔、saga2でアポロンに撃沈したことを思い出した。いくらレベルアップをしても、何度やっても倒せない絶望感。ボスどころか、通常バトルですらも勝てなくなっていく、古き良きsagaの伝統。
通常のRPGは、ゴリ押しが基本構造になっている。レベル上げをしたら、攻防ともにステータスアップする。回復アイテムと防御魔法をしこたま用意して、最大火力をぶつけていく。
sagaも確かに、損害を抑え、利得を重ねるゲームであるには違いないが、かなり複雑なトレードオフが用意されている。時と場合によっては「なにもしない」が最適だったりする。なんだそれは。
勝利のためには、システムを理解し、工夫を積み重ねていかなければならない。単純作業のゴリ押しは、許されない。
というわけで、サガエメにおける、バトルを勝ち抜くための原則を、整理してみる。
まず、このゲームでは、相手に与えるダメージの最大化よりも、相手から受けるダメージの最小化が優先されるべきである。そして、その手段が、実に多岐にわたっている。
相手に連携させない(行動順の工夫)
相手に行動させない(スタン等)
積極的に防御する(パリィ等)
攻防一体の手段(カウンター)
相手のステータス低下(デバフ技)
被ダメージの最小化は、ダメージゼロを目指すのとは違う。ゼロにしようとすると、かえって破綻する。小さいダメージを許容して初めてダメージコントロールが可能となる。
相手へのダメージを最大化する手段は、基本的には、上記の裏返しであるが、特に重要なのは連携を増やすことである。
特に、消費BPを減らした上での単独連携、すなわち独壇場は威力が高く、両手剣や重火器使いでこれをやると、驚くべきスコアを叩き出す。
ただこの、連携を増やす、というのが曲者で、フォローやバンプ効果での行動順変化、挑発してからのカウンターなど、パターンが多く、読みきれそうで読みきれない。そこがまた面白さでもある。
とは言いながらも、ラスボスの手前あたりまでは、正直なところ、上記のコツの一部で事足りたのだった。リザーブ技をそこそこ適度に組み合わせれば良かった。
ラスボス戦で、それだけだとどうにも勝てなくてやったことが、以下の2点。
相手の属性や耐性を考慮した攻撃
アイテムの強化
ちなみに、自分には参考にならなかったネット情報が以下である。
①エメラルドユニオンはパリィで防ごう
エメラルドユニオンが出てくる頃には、だいたい、良くてふたりが生き残る。ふたりともパリィ可能なキャラクターだったとしても、そのうちひとりしか有効にならなくて、なんやねんそれと思った。
そして、先に行動できてしまえば、独壇場で攻撃をかけるのを優先すべきで、守ってる場合ではなかった。
②◯◯リンカーのフォローはチェイスで対応
これは、ほんとに謎だった。なんども教えに倣おうとしたのだけれど、チェイスを選択したキャラクターは、すべからくリザーブ解除されてしまった。
結局のところ、◯◯リンカーたちの弱点を調べて、彼らを倒すリードタイムを縮めたのが、勝利への鍵となった。
***
それぞれの証言は、おそらく嘘ではなく、それぞれの現場で起きたことなのだろうと思われる。本作は、最終盤でたどり着いたそれぞれの状況によって「こうすれば勝てる」という打開策が、全然変わってくる。きっと、そういうことだったのだろう、と、思っている。
クリアが困難である
とはいえ必ず、打開はできる
ただ、詰まる状況と打開策が多様
打開の鍵は「正しい順序と組み合わせ」
そう、サガエメは、正しい順序と組み合わせを見つけるゲームなのである。たったひとつの手順違い、組み合わせの違いが、結果に大きな影響を与える。
組み合わせと順序の紙一重が、非線形の結果をもたらす。法則性はあるが、いつもどこかで想定を超える発見に出くわす。
その面白さは、将棋とまったく同じであり、格闘ゲームとも似ている。反射神経を要しない格ゲー。
つくづく、実に、プロジェクト的なゲームであると思う。
逆に言えば、つまらないゲームとは、ルーチンワーク的なゲームなのだ。クリアの法則が見つかったら、あとは線形に積み上げるだけ、ゴリ押すだけ、という。
良くできたゲームは、実人生や実プロジェクトに、良く似ている。
sagaシリーズは、不条理さが人気のもととなってきた不思議なシリーズだが、おそらく、この作品群を愛してやまない私たちは、そこに、人生そのものへの暗喩を、見出しているのだ。