第251回例会「初期ヴィジュアル系の二つの綜合」
発表者200さん、西新宿例会。
note記事
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初期ヴィジュアル系の歴史について解説し、ヴィジュアル系は外面(ルックス)と内面(音楽性)が発展を遂げながら相互に入れ替わるために概念として充足した状態を持てない空虚なものであると結論付けたが、それ自体は事実を述べただけに終わってしまい、だから何?としか言いようのない史学的発表に収まってしまったように感じる。
発表中に深草氏より今回扱ったもの以降のヴィジュアル系についても話した方がよいのではとアドバイスを受けたが、終了後にマンマのさんま氏より「ヴィジュアル系の音楽性にただ哲学的な説明を加えるよりも、もっとヴィジュアル系に共通するモチーフや共通感覚のようなものを取り出してから具体的な説明を加えた方が面白いのではないか」と言われ、確かにそうだと思った。どちらにせよ話題はまだ色々あるので、また機会さえあれば発表したい。
ふかくさ「1980年代以降の日本において海外音楽をヤンキーが見た目も含めて模倣したが、それらは〝ヴィジュアル系〟という言わば音楽家としての本質を逸脱したものとして蔑まれていた。しかし、外から〝ヴィジュアル系〟と呼ばれていたバンドの中でメタルとパンクの融和、曲構成の再編成、音楽の古典理論を摂取した上での再形式化がおこなわれ、これを完成したのがLUNA SEAであったという。ルナシーによるヴィジュアル系独自の音楽性の完成をみて、前期ヴィジュアル系という一種の近代は転換を迎える。すなわち、音楽にとってルックスは他者であるが、ルックスと独自の音楽性とがそれぞれ自立的となり、分けて模倣可能となった。前期の意味でのヴィジュアル系のこうした分裂、言わば"VとMとの分離"を経て、今日のゴールデンボンバーのようなさらに洗練された形式が可能となっている。ポストV系はさらに総合芸術としてどのような発展をみせるのか、その精神を見極めたくなる発表であった」
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